時間を有効に使えるアプリに若者たちは注目する(gettyimages)
時間を有効に使えるアプリに若者たちは注目する(gettyimages)
この記事の写真をすべて見る

 好きな人から、LINEの返事がぷつりと途絶えた。

【画像】ゼンリーでまる見えになった記者の「足取り」

「どうしたんだろう」「何か言っちゃったかな」

 LINEを開いては閉じ。つかない既読を確かめる。ときには“追撃”メッセージを送ってしまったり。そうやきもきした経験は、誰しも一度や二度はあるだろう。

 だが、今どきのSNSを使えば、必要以上に不安にならなくて済むという。

「相手がいる場所や状況がリアルタイムでわかるんです」

 日本大学芸術学部に通う女性(18)は、そのSNSのことをそう説明する。

 見せてくれたのは、「Zenly(ゼンリー)」というスマホアプリ。画面にはシンプルな地図が表示され、吹き出しのような「ピン」が現在地を示す。

 居場所の把握だけならグーグルマップのような地図アプリで十分だが、このアプリが若者たちに支持されるポイントは、女性が言うようにリアルタイムの「可視化」だ。使っているユーザー自身の情報だけでなく、フォローしているユーザーの居場所やその場所での滞在時間、移動スピード、さらにはスマホの充電状況まで、あらゆる情報が“リアル”で把握できるというから驚きだ。

 女性は、さらっと言う。

「LINEの返事がこないときは、ゼンリーを開きます。相手が就寝中かどうかもわかるので、寝てるんだったら私も寝るか、って。気楽です」

記者の「Zenly」画面。2日連続出勤しただけで、「職場」が設定されて衝撃(左)。ただし、なぜか広告部にいたことに……(右)
記者の「Zenly」画面。2日連続出勤しただけで、「職場」が設定されて衝撃(左)。ただし、なぜか広告部にいたことに……(右)

■彼とだけ「共有」したい

 待ち合わせ場所まであとどのくらいで着くのか予測したり、暗い夜道を歩く相手を見守ることだってできる。だが、あまりに共有される情報が多いため、不特定多数とはつながらない。

「彼とだけ使っています。互いに過剰に見ないというのが暗黙の了解です」

 相手の状況が想像できるようになり、必要以上にLINEを開くこともなくなったという。

 同学部2年の別の女性(20)もゼンリーを活用する。以前は、「ちょっと仲の良い」友達も含め50人ほどとつながっていたが、今では中高の友達12人だけと静かに共有しあっている。

「こんなにいらないなと思って、高校を卒業したときにアプリを一度消しました。今は、一人で出かけたときに近くにいたら合流できるくらいの仲の良い友人とだけつながっています」

次のページ
スマホ時間を「増やす」ではなく「減らす」ため