2008年10月、英王室のYouTubeチャンネルへの動画投稿に取り組むエリザベス女王(gettyimages)
2008年10月、英王室のYouTubeチャンネルへの動画投稿に取り組むエリザベス女王(gettyimages)
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 動物園のゾウの檻の前でカメラに向かって、男性が話しかける。“Me at the zoo”というタイトルの、わずか19秒の動画。YouTubeにアップされたいちばん最初の動画だ。話している男性はジョード・カリム。YouTube創業者の一人だ。

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 YouTubeは2005年、決済サービス「ペイパル」出身の3人が創業したスタートアップだった。当初はユーザー同士をつなげるためのプロフィル動画をあげてもらう意図で立ち上げられたが、そのような使われ方はせず、ペットの動画や流行をシェアするために使われるようになった。

 その1年8カ月後。米グーグルが16億5千万ドル(当時のレートで約2千億円)で買収した。翌07年6月には日本語版も開始。今から15年前のことだ。

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 この07年を「ITの大きな変わり目の年」と振り返るのは、ITジャーナリストの林信行さん。初代iPhoneが米国で発売され、ツイッターを一般の人が使うようになった──今当たり前にあるソーシャルメディアとデバイスが揃ったのが、この頃だという。

 初代iPhoneのトップ画面には、YouTubeのアイコンがある。現在の赤いアイコンではない、ブラウン管テレビのような茶色のアイコンだった。スマホでYouTubeを見るのは今や誰にとっても日常的なことだが、振り返れば、この初代iPhoneが初めて、スマホでの視聴を提示したといえる。

埋め込まれ「拡散」する

 それから15年。動画サービス他社が全く対抗できない勢いで、YouTubeは成長を続けた。

「コンピューターの世界では収穫逓増という言葉がありますが、覇者になると勢いが止まらなくなり、勝ち組がさらに勝ち組になる。YouTubeは06、07年からまさに収穫逓増状態です」(林さん)

 動画はデータ量が多く、再生やアップロードにどうしても時間がかかる。グーグルのデータセンターという巨大なバックエンドを持つYouTubeに対抗できるサービスはなかった。

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