高校2年夏まで学年ビリのギャルだった小林さやかさんが米国の大学院に合格した。34歳になった元ビリギャルが、今どんな夢を描いているかを聞いた。AERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。
【写真】ウエディングプランナーとして活躍していた頃の小林さやかさん
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──米コロンビア大学大学院に合格しましたね。なぜ留学を?
小林さやか(以下、小林):2010年に慶應義塾大学を卒業しウェディングプランナーとして働いていた頃、ビリギャルの本が出版されました。それをきっかけに講演依頼がくるようになりました。その中で「ビリギャルってもともと頭よかったんだろう」「夢、見させるなよ」と言ってくる子どもにたくさん出会ったんです。自分なんて何をしても絶対に無理、というバリアーです。それがあまりに強いことにびっくりしました。
■1日8時間も英語漬け
子どもたちの根底にある「闇」みたいなものは何だろう、どうやったらそのバリアーを外してあげられるんだろうと悩み始めました。結果、私自身がもっと学んで子どもたちの周りにいる大人を変えられるだけの力を持つべきだ、という考えに行き着いたんです。そんな時、(高校生の時に塾で教えてもらった)恩師の坪田信貴先生から「君さ、本気で教育をやりたいのなら一度日本を出ないとだめだよ」と言われ、留学を意識し始めました。そこでまず19年に聖心女子大学大学院に入り、人間の学びにフォーカスした「学習科学」を学び、21年に修了し留学を決意しました。
──米国の大学院には英語の試験、TOEFL(トーフル)(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの各30点で120点満点)で一定の点を取れないと出願できません。
小林:そうなんです。大学受験の勉強から15年間は英語から離れていたので、めちゃめちゃ勉強しました。1日8時間、まさに英語漬けでした。
──勉強法は?
小林:まず、英語学習の基礎となるボキャブラリー(語彙(ごい))を増やすため、英単語帳一冊を丸暗記し、同時に中学レベルの英文法も最初からやり直しました。その後、TOEFLを主催するETSが出している過去問を全てやりました。基礎を固めて実践を積み、苦手なところを潰していくことで正答率を上げるというプロセスは、大学受験の時と全く同じでした。
最終的に104点取れました。最初に受けた時は62点で、合格したコロンビア大学の教育大学院は「足切り」が100点。自分でもよく頑張ったと思います。