現地で大谷の移籍話がこれだけ盛り上がるのも、エンゼルスとの契約交渉がうまく進んでいないことが大きい。これは、スポーツメディア『ジ・アスレチック』の記事(14日掲載)に詳しく書かれている。記事では、「情報筋によれば、エンゼルスはネズ・バレロ氏(大谷の代理人)と今年の春季キャンプ終盤に非公式の話し合いを行った」と伝えた一方で、「(非公式の話し合いの際)長期的な提案をすることに消極的だった」と紹介。その理由を次のように述べている。
「大型契約で何度も痛い目に遭っているエンゼルスには、大谷との(契約)前進は考えるよりも簡単ではない。ある意味では、大谷を失うことと長期契約は同じレベルの恐怖となるだろう」
エンゼルスはこれまでアルバート・プホルス(現セントルイス・カージナルス)と10年2億4000万ドル(約322億円)、ジョッシュ・ハミルトンと5年1億2500万ドル(約167億円)、そしてジャスティン・アプトン(現シアトル・マリナーズ)と4年8850万ドル(約118億円)に加え1年1750万ドル(約23億円)と大型契約を結び、どれもうまくいかなかった過去を持つ。
また、最近は大型契約を結んでいるマイク・トラウトとアンソニー・レンドンの離脱が目立っている。特にレンドンに至っては、17日に右手首の手術で今季の全休が決定。そういった背景から、エンゼルスは故障歴のある大谷に長期のオファー提示を躊躇しているとし、交渉が進まないことを伝えた。金銭的な理由ではないが、難題を抱えるエンゼルスの状況に、現地では「大谷は他球団に移籍するかもしれない」という考えが広がり、移籍を予想する記事が多く出るようになった。
それに加え、MLBはこれから夏のトレードが盛んになる。毎年この時期は、優勝を狙う上位チームが下位チームから大物選手を獲得することから多くの注目を集めるが、今年はプレーオフ出場枠が増えたのでさらに盛り上がっている。今年のトレード期限は8月2日でまだ時間はあるが、エンゼルスは4位に転落し、プレーオフ進出当確ラインも6.5ゲーム差(25日現在)。現地では早くも「エンゼルスは売り手になる」と予想が立てられ、中には「大谷をトレードで放出すべきだ」と主張する声も出始めている。