それでも一番の魅力は、やはり颯爽とピンチを切り抜けるマウンドでの姿だろう。先に「今季の田口のスゴさは防御率だけでは測れない」と書いたが、メジャーリーグにはそれを測る「IS%」という指標がある。

「IS」とは前の投手が残した走者を生還させた数(Inherited Score)のことで、「IS%」はその割合を示す。走者を塁に置いてマウンドに上がった投手がその走者をかえしても、自身の自責点にはならず防御率には響かない。だが、ピンチの場面で送り込まれる投手に求められるのは、そうした走者をホームにかえさないことだ。

 つまり、この「IS%」こそが田口のようなピッチャーの、防御率に表れない価値を示す指標ということになる。そこで今季の田口のIS%を調べてみると、6月18日までの22試合の登板で、前の投手から受け継いだ20人の走者のうち、生還を許したのはゼロ! IS%は驚異の0%である。

 その後は6月21日の中日戦(バンテリンドーム)の10回裏、2死満塁の場面でマウンドに上がって代打の三ツ俣大樹にサヨナラ打を浴びると、26日の巨人戦(神宮)でも同点の7回表、2死一、二塁から適時打を許し、2試合連続でホールドに失敗。その借りを返すように、6月28日の広島戦(マツダ)では3点リードの8回裏、2死一、二塁の場面で登板し、スライダーの連投で野間峻祥を3球三振に斬って取り、キャリアハイを更新する15個目のホールドを手にした。

 これで今季の田口のIS%は7.4%。ちなみに昨年のメジャーリーグ全体の平均は34.6%で、シーズンで30人以上の走者を引き継いだ投手の中でベストだったのがシカゴ・ホワイトソックスのクローザー、リアム・ヘンドリックスの10.0%。日米の記録を単純に比較することはできないし、今シーズンもまだ半ばではあるが、これらの数字からは今季の田口がいかに傑出しているかがわかるはずだ。

 田口の起用に関し、高津監督は「本当は楽な場面(で使いたい)というか、もう1人2人左ピッチャーがいればまた違ったことになるとは思うんですけども、今は彼しかいないので。どうしてもピンチのところで『お願いします』というような感じで送り出してます」と話している。

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「困った時の田口頼み」はまだ続く…