一覧表では、同じものとみられる返礼品で、差額があるものが30近く並んでいる。
また、総務省は返礼品を、
「当該地方団体の区域内において生産されたものであること」
として、「地場産品」とするように基準を示している。
だが、一覧表の備考欄には洲本市の返礼品が地場産品ではなく、淡路市や南あわじ市から調達しているとの指摘が記されている。
<本マグロとろ(畜養)>
という洲本市の返礼品の備考欄には
<マグロ? 淡路島ではとれない。蓄養するだけで扱いできるのか>
と書かれている。
また、なかには<産地偽装><生産地はどこか?>と、産地偽装を想起させるような記述もある。
そして、総務省の除外決定の端緒になった「温泉利用券」。洲本温泉の旅館を利用できる「金券」のようなものだ。
「調達費は3割を超えていないが、温泉旅館への事務手数料が調達費に含まれるとの総務省の判断でした。除外という事態になって申し訳ない」
と洲本市の担当者は話す。
そして、温泉利用券以外の「疑惑」については、
「さらに調べると、これは疑わしい、おかしいというものが120品目ほどあり、それを市議会に報告しました。現在は、市議会の特別委員会で精査しているので、その結果を待っているところです。今後、第三者委員会で調査される可能性が高いと聞いています」
と説明した。
だが、洲本市が寄付者に発送した「お詫び」文書「ふるさと納税事業にかかる指定取消に伴うお知らせ」には、「温泉利用券」についてのみの謝罪にしか見えないようない文面だった。
そのことについて問い合わせると、
「そう思われても仕方ない内容で、再度、お手紙を発送したい」
一方、淡路市の担当者は、
「こちらからも洲本市に指摘をしたこともある。同じ商品で寄付額が違うというのはおかしなこと、誤解されるのは困る。うちはルール通りにきちんとやっている」
洲本市では、除外という事態に、78億円という「納税額」がゼロに近くなる。
「洲本市が破産するということはないでしょうが、ふるさと納税の税収がなくなるというのは、予算に大きな影響が出るのは確実です」
ただの商品目当てではなく、真剣に洲本市への寄付をしてきた人の信頼を取り戻せるよう、改善すべきところはしてもらいたい。
(AERA dot.編集部・今西憲之)