数多くのバラエティーを手がけるだけでなく、ラジオのパーソナリティーを務め、若者に大人気のテレビプロデューサーの佐久間宣行さん。そんな佐久間さんが作家・林真理子さんとの対談で、テレビ東京時代を振り返りました。
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林:(佐久間の著書『佐久間宣行のずるい仕事術』のページをめくりながら)「『雑務』こそチャンスに変える」ってありますけど、入社したてのサラリーマンの子たちが「なんでこんな雑務ばっかりやらされるんだ」みたいなことを言いますよね。
佐久間:僕もADだったんで、入社して2、3カ月のころは、「大学まで卒業して、なんでこんな知性がまったくないような仕事をやらなきゃいけないんだ。しかも徒弟制度で」と思って愕然(がくぜん)としましたね。そのころテレビ業界はいまより厳しくて、全員のたばこの銘柄と、コーヒーにミルクを入れる入れないを覚えなきゃいけなかったんです。俺、ディレクターやりたくて入ったのに、なんでこんなことしなきゃいけないんだろうと思って、辞めようとまで思ってましたね。
林:いまの子は本当に辞めちゃいますよね。
佐久間:でも、ちょっとずつ雑務をおもしろくアレンジしてみたら、「佐久間に代わったとたんにおもしろくなった」とか「効率よくなった」とか、評判がよくなったんです。工夫すれば評判が上がるって気づいたんですね。
林:この本にもあるように、ドラマの小道具として使われたサッカー部の女子マネジャーのお弁当をアレンジして。
佐久間:小道具づくりで「サッカー部の女子マネジャーの弁当、おまえがつくってこい」って言われて、めちゃくちゃイヤだったんですけど、工夫してサッカーボールの形にしたおにぎりとか入れるようにしたら、そのシーンがお弁当中心の脚本に変わったのを見て、「雑務だと思ってたのは俺だけかな」って気づいたんです。そんなことをやってたら「おもしろいADがいる」ってなって、仕事が少しずつ変わってきたんです。