メタは1万1000人、アマゾンは1万8000人を削減
その結果、GAFAの株価は下落した。2023年1月9日までの1年間の下落率は、グーグルが36%、アップルが24%、メタが61%、アマゾンは46%だ。主要なIT先端企業の株価下落のインパクトは大きく、同じ期間、ナスダック総合指数は29%下落した。2023年1月前半の米国株式市場では、アップルの時価総額が2兆ドルを下回る場面もあった。一部の主要投資家はGAFAの先行きを一段と慎重に考えている。
コストカットを進めて業績の悪化を食い止めるために、GAFAの経営陣は人員を削減し始めた。これまでのところメタは1万1000人、アマゾンは1万8000人程度の削減を発表した。採用を抑制しているグーグルやアップルも、いずれ人員カットを余儀なくされる可能性は高い。また、GAFA以外にも、マイクロソフト、ツイッター、セールスフォースなどが人員を削減している。さらなるコストカットのために新規事業への投資を削減せざるを得ない企業も増えている。
なぜ高成長が維持できなくなったのか?
GAFAにとって、これまでのような高い成長が難しくなっている背景には、いくつかの要因がある。まず、米国の超低金利環境が終わったことは大きい。2020年の春先、世界全体で新型コロナウイルスの感染が急拡大した。米国などの中央銀行は金融緩和を強化し、景気の下支えに取り組んだ。ダブついた資金は株式市場に流入した。特に、デジタル化を牽引したGAFAをはじめIT先端企業の高成長は間違いないという過度な成長期待は高まり、株価は急騰した。
しかし、2021年11月末に連邦準備制度理事会(FRB)は、物価上昇は一時的との認識の誤りを認めた。2022年3月以降、FRBはインフレを鎮静化させるために利上げを加速させた。世界的に金利は上昇し、GAFAを取り巻く事業環境は急速に不安定化した。金利上昇によって企業や家計の利払い負担は増加し、需要は徐々に減少している。
昨年の年末商戦では、多くの米国企業は値下げによって在庫を減らさざるを得なくなった。利上げの継続に伴い徐々に賃金の上昇ペースも鈍化している。金利上昇は株価を下落させる要因にもなり、GAFAなどへの逆風は強まっている。