中国「BAT」の台頭、欧米当局の締め付け…
次に、競争も激化した。リーマンショックの直後、GAFAの競合相手は少なかった。その後、高い成長を実現するために新規参入は相次ぎ、類似のサービスを提供する企業は増えた。SNS、配車などのシェアリング、モバイル決済などのフィンテック、オンラインゲームなどの分野では中国のティックトック、バイドゥ、アリババ、テンセントなど米国以外の企業も急速に競争力を発揮した。“アマゾン・キラー”と呼ばれるスタートアップ企業も増えた。
規制も強化された。2018年には欧州委員会によって一般データ保護規則(GDPR)が施行された。GDPRなど法令への抵触を理由に欧州委員会はIT大手企業に制裁金を科した。米国でもGAFAなどに対する規制は強化されている。主要先進国においてIT関連の規制はさらに強化されるだろう。それは、ネット空間を公共の場としてよりフェア、透明性の高い、信頼できるものにしようとする考えに基づいている。当面、GAFAの業績がさらに悪化する可能性は高い。
スマホに代わる新たなハードウエアが不可欠だ
一方、世界のネット業界では、ウェブ3.0への移行が加速する。さまざまな論点がある中、ウェブ3.0は世界のネット空間の在り方を中央集権的なものから分散されたものへ大きく変えるだろう。これまで、わたしたちは、必要に応じてデバイスを起動し、グーグルの検索サイトにアクセスするなどして欲しいデータ、情報、モノを手に入れた。そうしたサービスはGAFAなどが提供した(ウェブ2.0)。
ウェブ3.0の時代ではメタバース技術やブロックチェーンなどの普及によって、個々人は常時ネットにつながるようになるだろう。それに伴い、データはGAFAなど一部企業による管理から、より分散された透明性の高い方式で管理されるようになるだろう。
そうした変化には、新しいデバイスが欠かせない。ウェブ2.0を駆動した一つの製品はスマホだった。ウェブ3.0の時代、常時、人々がストレスを感じることなく身に着けてネットとリアル空間における同時生活を満喫できる新しいハードウエアは欠かせない。それがいったいどういったものか、これといったモノはまだ見当たらない。今後、試作品がより多く設計、開発され、規格の標準化に向けた議論も進むだろう。