本当に親しい相手との関係は、生活が変わっても継続される

 生活スタイルや居住地が変わることで、人間関係にも変化が生じることに淋しさをおぼえる人もいるかもしれない。ただ、実際にはそれほど心配する必要もないだろう。たとえ以前のように頻繁に会うことはできなくなったとしても、それまでお互いに信頼感やよしみを抱いてきた相手であれば、根っこの部分の繋がりは変わらないものだ。そんな相手であれば、ときどき移住先を訪ねてもらったり、自分がもともと暮らしていた場所に出かけたりすることで、いくらでも旧交は温められる。

 それどころか、むしろ会う頻度が高まる相手もいる。以前は「会おうと思えばいつでも会えるからな」と明確な約束をせず、「今度飲もうねー!」などと口にするばかりで、気が付けば3年も酒席を共にしていない……なんてケースも少なくなかった。

 そんな相手のなかには、私が唐津に拠点を移してから「来月、出張で福岡に行くので、ついでに唐津にも足を伸ばそうと思っているのだけど、よかったら飲まない?」「次の上京はいつですか? 軽く食事にでも行きませんか?」と具体的な約束を交わすようになった人も存在する。

生き方を変えても、仕事は手放さない

 私が考える「BOYA」という生き方の核になっているのは、「もう馬車馬のごとき働き方からは卒業しよう」「これからはゆっくり、ストレスなく仕事がしたい」という強い思いだ。妙味は「自分のやりたいように、マイペースで仕事を継続する」と、労働を一概に手放さない点にある。

 2020年9月1日から始めたこの働き方は、1年9カ月ほど経過した現在に至るまで、常に快適であり続けた。ここから先も、細々と仕事を獲得しながら生きていけるのではないか。そうして地に足の付いた日常を送りながら、やがて穏やかに死ねるのではないか……そんな晴れがましさにも似た感情を日々深めている。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・近年「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という生き方が話題にされるようになったが、実現するのはなかなか難しい。・おすすめしたい生き方は「BOYA(Burned Out Yet Attempting)」だ。あくまで造語だが、その心は「それまでの仕事で達成感を得て、どこか燃え尽きた感覚を抱いてはいるが、まだなにかに挑戦する姿勢は捨てていない」というものである。

・端的には「ストレスフルな職業生活から卒業し、これからはマイペースに、無理なく仕事を継続していこう」ということだ。「FIRE」のように「いかに早い段階で労働から開放されるか」というアプローチではなく、「ある程度実績を積み重ねた後、やりたい仕事だけを、やりたいように続ける自由を得よう」というアプローチである。

・「FIRE」に比べて、「BOYA」はハードルが低い。働き方、生き方を見直したい人は一考してみてはいかがだろうか。

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