『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』西村 博之 プレジデント社
『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』西村 博之 プレジデント社
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 匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者として知られる、「ひろゆき」こと西村博之さん。現在、テレビなどのメディアでは論破王として引っ張りだこですが、ひろゆきさん自身は自分がいちばん得意とするスキルは「問題解決能力」だと言います。

 これをテーマにした書籍が、『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』です。この「ずるい」とは、他の人たちがとるような正攻法ではない、独自の抜け道を見つけるということ。何か問題に直面したときに、「いかにラクをしながら効率的に結果を出すか」という考え方が満載です。具体的にはどんなテクニックがあるのでしょうか?

 そのひとつとして出てくるのが、学生時代におこなっていた宅配ピザのアルバイトのエピソードです。他の人が1時間に平均3軒ほどの配達で終わっていたところ、1時間に平均6軒配達するほど優秀だったひろゆきさん。なぜこれほど早く配達できたのかというと、「ひたすら最短ルートにこだわったから」。

 配達エリアはひろゆきさんが子どもの頃から遊んでいた地元で、路地裏から一方通行まですべて頭に入っていたため、他の人が使わないような最短ルートを通って時間を短縮できたといいます。しかも、余った時間は友だちの家に寄ってゲームをするなど、しっかりと楽しんでいたそうです。まさにこれぞ"リアル抜け道"。ひろゆきさんの「抜け道的思考」の原点といえるかもしれません。

 他にもひろゆきさん自身がよく使うテクニックとして、「パクる」「丸投げする」「撤退する」といったコツも紹介されています。どれも言葉のイメージはあまりよくないですが、詳しく読むと「なるほど」と思えるはず。

 たとえば、「パクる」とは「マネる」こと。新商品や新規事業の開発などでは、「まずはマネしてみて、そのうえで改良できる部分があれば変えていくのが、いちばん効果的」(同書より)とひろゆきさん。成功例をマネることには大きなメリットがあると、改めて気づく人も多いことでしょう。

 このように、効率や合理性を第一優先した問題解決法を説いている同書。「感情を排除したやり方は苦手だ」と思う人もいるかもしれません。しかし「実際に使うかは別として、そういう解決策もあるのかと知っておくだけで選択肢は増えると思います」(同書より)とひろゆきさんは言います。

 私たちが生きる上で悩みやトラブルはつきものです。そのときにいちばん良くないのは、そこで自分の人生を「詰み」だと思ってしまうことではないでしょうか。そうならないためにも、人生の抜け道はいくつあっても困りません。どんな問題にもへこたれない「抜け道探し」の見つけ方を、みなさんも同書で学んでみてはいかがでしょうか?

[文・鷺ノ宮やよい]