コロナ禍をサバイブした後も、企業の業績は回復の途上。中高年のリストラは待ったなしです。空前のリストラ時代に向けて、そのジャッジを下す「人事」は、いったい社員のどこを見て評価しているのでしょうか。人事コンサルタントの西尾太さんが解説してくれます――。
※本稿は、西尾太『人事はあなたのココを見ている!』(アルファポリス)の一部を再編集したものです。
人事を「敵」に回しても何もいいことはない!
あなたは、現在の自分の評価やポジション、給与などに満足していますか? このような悩みはないでしょうか。
「高い業績をあげているのに、会社から評価されない」
「実力と給与が見合わない」
「自分ではなく、○○が昇進するのが納得できない」
私はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、400社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般にたずさわってきました。そして、多くの方々からこのような不満や悩みをうかがってきました。
評価されない、給与が上がらない、昇進できない。これらのケースの場合、その理由はさまざまですが、実は多くの人が気付いていない盲点があります。
それは「人事の目を意識しているか?」ということです。評価、給与、昇進・降格を決めるのは、あなたの上司だけではありません。経営陣だけでもありません。そこには多くの場合、「人事の目」が大きく影響しています。
人事は、成果や業績だけを見ているわけではありません。勤務態度、日頃の言動、出勤時間、就業規則の遵守、会社の理念に沿った行動など、その視点は多岐にわたります。それらを経営者や管理職に伝えることが、人事の重要な役割なのです。
あなたが「思うような評価や給与を得られない」「昇進できない」といったことで悩んでいるのなら、「人事的な観点」が抜けていることに原因があるのかもしれません。
人事は経営に近いところにいる
人事担当者や人事部門に対して、「細かいことにうるさい」「面倒くさい」「胡散くさい」「秘密を握ってそうで怖い」「何をしているのかわからない」といったイメージを持っている人は多いと思います(本当はそうとは限らないのですが……)。
しかし、たとえそう思っていたとしても、人事とはうまく付き合った方がいいでしょう。媚びを売る必要なんてありませんが、少なくとも「敵」に回すことだけは避けるべきです。
なぜなら、人事を敵に回しても何もいいことはないからです。
例えば、重要なポジションが空いて、誰かを抜擢する際には、人事がリストをつくります。その際に、たとえ営業成績はトップでも「協調性を欠く」「就業規則を守らない」「部下の育成を行わない」といった社員は、人事では「問題社員」と見なして、リストから外すことがあります。
また、人事は経営に非常に近いポジションにいるため、経営者や役員から「アイツはどうだ?」「コイツはどうなんだ?」と意見を求められる機会が多く、人事の発言は、社員の評価、給与、昇進・降格などに影響します。
そんな人事を敵に回してしまったら、あなたの将来は閉ざされてしまいます。