朝晩はぐっと冷えるようになり、街路樹の紅葉も進んできました。空気は爽やかで、天気の良い日にはスポーツをするのにもぴったりです。ランニングなど運動を始めるには冬に向かう今がベストシーズン!その理由とは?

ランニングに適した気温とは?

ますます寒くなるこれからの季節、ぜひスポーツを楽しんでみてはいかがでしょうか。

スポーツには適した気温があり、瞬発力のいるスポーツに関しては暑い方が向いていて、長い時間持久力のいるスポーツは寒い方が向いているといわれています。

長く走るか短く走るかによっても違ってきますが、長距離走など持続力が必要なスポーツが適している気温は5度~15度くらいです。季節が冬へ進むたび汗をかく量が減っていきますが、実際に同じ距離をランニングして楽に感じるのは、やはり秋冬です。東京の平均気温でいうと、11月中旬が12.5度、下旬が10.8度。12月上旬にかけては朝晩も日中も時間帯に関わらず、走るのには比較的良い条件の所が多くなります。

冬のランニングやマラソンにふさわしいウェアは「寒さ」を避けること。運動をやめると急に体が冷えてきますので、汗冷えしないようにご注意ください。腰に巻きやすい薄手のウィンドブレーカーがあると便利です。下に合わせるタイツもショート丈より、ロング丈のものが良いでしょう。

また、空気が乾燥する季節、顔や手足に保湿クリームをつけると皮膚の乾燥を防ぐことができて快適です。外に出るのが億劫な時もありますが、オシャレなランニングウェアを着て、走りだせば気分転換になりますので、試してみてください。

ダイエット効果に期待 ストレス解消も

スポーツというと疲れる、苦手という考えをもつ人も多いと思います。私自身、週2、3回のランニングを習慣づけ、運動には慣れているはずですが、それでも疲れる…と感じることは多々あります。ただ、それ以上に「運動をすること」には、良いことが多いのです。

気温が下がるほど、私たちの体は体温を維持するために、夏よりもより多くのエネルギーを消費し、代謝があがります。このことから、冬に向けてスポーツすることはダイエットに効果的と考えることができます。資料としては古いものになりますが、グラフは基礎代謝量の季節変動を示しています。年間で10月が最低となり、4月が最高となっています。季節の基礎代謝量の変化は、若干のずれはありますが、気温の低い冬は高くなり、気温の高い夏は低くなるという傾向にあることが分かります。

引用文献:島岡章他「基礎代謝の季節変動について」(日生 気 誌24(1):3-8,1987年)

※こちらの資料は1987年の論文のもので、現在は生活環境の変化などから基礎代謝の変動は昔に比べて少し変わっている可能性があります。

これから寒くなる中で運動すればよりエネルギーを使うため、少なからず減量しやすい時期と言えます。運動後はカロリーを消費するため、食べ物を欲し、美味しい秋の味覚をより味わうことができます。ただ、ダイエット目的の方は運動後の食べすぎには要注意です。

また、寒くなると鬱々と感じる人もいらっしゃるようですが、普段の生活とは違う「スポーツ」という行動を入れることで、気分転換ができます。日ごろの「ストレス解消」にもつながり、モヤモヤした気持ちが晴れることがあります。

考え方次第でランニング距離が変わる

公園や緑道に目を向けてみると、昔に比べてランニングが趣味の方は本当に増えたのを実感します。今ではランニング愛好家という方でも、はじめはランニングに抵抗のあった方が多くいらっしゃいます。その理由は多くの場合「走る」イコール、速く走らないといけない。長い距離を走らなければならない。という認識を持っているためです。考えてみると、学生時代の体育の授業でも評価されるのは足の速い人…。このためそのような考え方が植え付けられてしまいますが「ゆっくり」「短い距離」でも大丈夫ということに気づくと、走ることに自信がついていきます。

走るのは「ゆっくり、短い距離から」のスタートで十分です。最初の目標は短い距離、1キロを走るというように、達成しやすい目標をもってコツコツ取り組むのがお勧めです。それに加えて速く走らなくてもいい。途中で歩いてもいい。という考えを取り入れると、その距離が5キロ、10キロ、ハーフ、フルマラソン…とどんどん走れる距離が伸びていきます。一緒に走る人がいるならお喋りしながら、写真を撮りながらというレベルで始めてみてください。

初心者からランニングが趣味になり、フルマラソンを走れるようになった方は、きっかけはリレーマラソンという方も多くいらっしゃいます。リレーマラソンは複数の人数でリレーしながら、一定距離を走るというものですが、2キロぐらいに設定されているものが多く、初めての方でも取り入れやすいマラソン大会でお勧めです。

コロナの影響が続き、まだオンラインで開催されるマラソン大会が多いようですが、感染対策を徹底しながら、元の形式に戻ってきている大会も出てきているようです。

ウォーキングからの1ジャンプがジョギング、ランニングへ

走るということは歩くことにジャンプを連動させた動きになります。まずは、無理のないウォーキングから始めるということが基本になります。普段あまり運動していない人が急にジャンプを繰り返すと、けがのもとになります。安全に走るためには、ウォーキング20分から30分を日々の生活の中に習慣づけることから始めてください。

ウォーキングを続けるだけでも十分いい運動になりますが、その先の目標が走ることであれば、確実に走りたい気持ちになってきます。ランニングフォームを見直す時も、まずウォーキングのフォームを見直すことから始まります。きれいな姿勢は、背にならず、背筋を正して、腕は自然に振ること。つま先は必ず真正面です。きれいな姿勢でウォーキングができるようになったら、少し早歩きに加速しながら自然にジョギングに移行していきましょう。

歩きから走りへチェンジするのに大事なのは「途中で1ジャンプ」を挟むことです。最初は低めのジャンプ、慣れてきたら少しジャンプを高くしていくと、ジョギングからだんだんランニングへとダイナミックな動きになり、走れる!という自信につながっていきます。

これは、日ごろから走る習慣が身についているランナーでも、活かせる動きになります。実際にランニング中やマラソン大会などで、途中の水分補給や栄養補給をしたあとや、疲れて立ち止まることがあります。このような場合にも、歩きからもう一度走りに変えるためには、1ジャンプを入れることでよりスムーズに走りだすことができます。

ウォーキングを続けていると、寒さの中でもじんわり汗をかいて、運動しているという自覚をもち、自信につながります。そこからは体力的にも精神的にも余裕があれば試すぐらいの感覚でジャンプを取り入れてみましょう。先に見えるあの建物を超えたら、1ジャンプしようという何か目安を決めておくと取り入れやすくなります。ぜひ疲れた時も使える魔法の1ジャンプを覚えておいてください!

参考 一般社団法人 日本ライフタイムスポーツ協会

ジョギングインストラクター養成講座テキストより引用