トラブルの防止や意見交換の場として役立つとされる幼稚園や保育園の保護者会。しかし、保護者らが多忙すぎて機能しないケースもある。保護者会はいるのか、いらないのか。模索する現場の声を聞いた。AERA2022年7月18-25日合併号の記事を紹介する。
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立て続けに届くLINEの連絡に、会社員の女性(41)はちょっと面食らった。送信主は、息子(2)が通う保育園のママ友だ。
「怒りがおさまらないから聞いてね! なぜコロナ陽性者のクラスを特定して発表する必要があったのか。絶対におかしいよね!」
6月上旬のその日、保育園では初めてとなる園児のコロナ陽性が確認された。コロナ禍になってから2年半が経つが、初めての陽性者に園が慌てているのがわかった。
連絡アプリを通して園から届いたメッセージには、陽性となった園児が在籍するクラス名とともに、「休園はしません。保健所からはご自宅待機等は自己判断でお願いしたいとのことです」と、どこか他人事のような内容。園としての明確な指針がないことがうかがえた。
■ひとりの声だけで
ママ友は、このメッセージに怒りが爆発したようで、園側に電話で猛然と抗議もしていた。女性は言う。
「彼女の言うことはもちろん理解できます。ただ、どのクラスの園児が陽性となったか私は知りたいと思いました。我が子を登園させるのか否かの判断に迷ってしまうから。でも、彼女にも園にも言えなかった」
その後、保育園では陽性者が続いて出たが、クラス名は通知されなくなり、女性の中にはモヤモヤしたものが残った。
「ひとりの保護者の声だけで決まってしまった印象だった。保護者会があれば、こんなことにはならなかったのかな」
幼稚園・保育園の保護者会は、小学校のPTAと同じで設置義務はないが、歴史ある公立保育園などでは活発に活動しているケースも多い。一方で、新設の園や認可外の場合、設置されないまま走り出しているケースがほとんどだ。いま、保護者会のない幼稚園・保育園が増えている。