ほかにも複数の商品で内容量の減少が指摘されているが、こちらは「為替レートの変動や原材料高騰に応じて内容量は上下することがある」とのことだった。

 大手日用品会社の花王は過去に、食器用洗剤「キュキュット」の本体容量を250ミリリットルから240ミリリットルに、粉末洗剤「アタック高活性バイオEX」を1箱1キログラムから900グラムに変更。「量が減った」と残念がる声がネット上に散見される。

※写真はイメージです (GettyImages)
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 内容量が減った理由を尋ねると、同社広報部はこう答えた。

「キュキュットは14年に処方改良を実施し、洗浄力の向上と泡持ちが良くなり、1回の使用量で洗える食器の数が増え、実際の使用量はほとんど変わっておりません。アタックも19年に洗浄力を改良しました。改良時にパッケージなどで、濃縮処方により従来品と同じ回数が使える旨をお伝えしています」

 こうした各社の回答からもわかるように、一見、「ステルス値上げ」と見えてもその背景にはさまざまな事情があり、中には消費者側の「誤解」というケースもあるようだ。

 取材の中で出てきた「原材料費の高騰」という理由について検証してみた。前出のカントリーマアムをはじめとして、多くの加工食品に使われるのが小麦粉。麦類の輸入を担当する農林水産省の政策統括官付貿易業務課によると、「小麦に関して、我が国は国内需要の約9割を輸入に依存している」という。

 そこで同省が発表する「穀物等の国際価格の動向」を確認した。00年に小麦価格(シカゴ商品取引所)は1トン約100ドルだったが、世界各地の干ばつや天候不順などの影響を受けながら乱高下し、21年8月6日時点で2倍以上の264.2ドルに到達。ここ20年間の価格の推移を見ても、価格は上昇の一途をたどっている。直近も値上がりしており、その理由は「米国・カナダ産小麦に対する中国の旺盛な買い付け、ロシアの小麦輸出税の引き上げ、米国中央部の寒波による影響などが考えられる」(農林水産省・同課)。

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