面倒見の良い大学ランキングで順位を上げた中央大(左)と立教大(撮影/小黒冴夏、張溢文)
面倒見の良い大学ランキングで順位を上げた中央大(左)と立教大(撮影/小黒冴夏、張溢文)
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 進学校の進路指導教諭は大学の情報をよく知っている。自分の高校の生徒を送り出すのにふさわしい大学はどこかを見極めるため、大学についての情報収集を欠かさないからだ。高校教諭が注目する大学のなかで、「面倒見の良さ」というポイントで選ばれる大学はどこなのか? 最新のランキングをみると、コロナ禍でその顔ぶれに「変化」が起きていることがわかった。9月2日発売予定のAERAムック『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。

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 就職支援が手厚い、基礎的な教育が行き届いている……大学の「面倒見の良さ」を表すものは多岐にわたる。高校はどのような大学を評価しているのか。ランキングは、大学通信が全国の高校の進路指導教諭に「面倒見が良い」大学はどこかを聞き、そのポイントを集計したものだ。

 1位の金沢工業大は、調査開始以来16年連続で1位の座を譲らない。その理由について、大学通信常務取締役の安田賢治さんはこう話す。

「金沢工業大は、学生の教育に重きを置いたことで注目されてきました。大学教員が教育よりも研究に注力しがちだった時代から、学生が大学での専門的な学習につまずかないよう、高校時代の化学や物理もサポートするという教育体制が、高校から高く評価されてきました」

 近年は「KITポートフォリオシステム」も教育関係者から注目を浴びている。履修科目の勉強やアルバイトなどの課外活動を含め、学生生活全般の行動を1週間ごとに記録。担任教員に提出し、講評をもらうというシステムだ。

「この取り組みを続けるのは大変だろうと思います。しかしこれによって、自らの生活や勉強の習慣を振り返り、学生の進路選択、就職活動につながることを大学は期待しているのだと思います」(安田さん、以下同)

 同大は、学生がものづくりに取り組むためのワークスペース「夢考房」で知られ、ソーラーカーや人力飛行機などの開発プロジェクトが学生主導で行われている。夢考房は1993年に設置され、2017年には建物を新設。設備や材料、工具、技術指導者を大学が用意している。同大は13年にベトナムで開催されたABUアジア・太平洋ロボットコンテストで日本代表として出場し、優勝した実績もある。

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高校との信頼関係がある東北大