友人ファリッドからショッキングな画像が送られてきたのは16日のこと。その画像は、野菜か何かを運ぶプラスチック箱に入れられて路上に放置され、泣き叫んでいる赤ん坊だった。「空港から脱出しようとする人が置いていったようだ。こんな光景を今、あちこちで見る」と義弟。
ファリッドと18日に話した時には、タリバンが町を占拠してからカブールは「静まり返っている」と言っていた。「タリバンはコソ泥を捕まえては顔を黒く塗り、市中引き回しにしているんだ。泥棒などが格段に減ってむしろ治安は良くなった」という。
カブールから脱出しようと空港に向かうカブール市民も多い。義姉一家もそうだ。日本でテレビの映像などを見た筆者の夫が、「空港は大混乱のようだ。落ち着け。今は行くな」とメッセージを送ったにも関わらず、一縷の望みをかけ、家族で空港に行ったという。前々日に、知り合いの家族が脱出できたというのを聞いたからだ。だが空港は、国を脱出したい人たちであふれかえり、それが群衆になることでまさに半狂乱状態となり、警備兵は発砲を繰り返す、人々はわめき、子どもは泣き叫ぶという、まさに阿鼻叫喚の世界であったという。姪も倒れたところ踏みつけられ腕の骨を折り、明け方泣きながら帰宅したという。
■「毎日イモ、ナン…」
タリバンからも前政権からも正式な発表は限られている中で、人々はFacebookの情報や口伝えの噂に右往左往され、不安は相当に高まっている。物価も高騰している。アフガニスタンが産地の野菜などはさておき、油や小麦、ガソリンなどすべてが3、4倍に跳ね上がっているようだ。また陸路が封鎖されているため、品物自体も出回っていないという。銀行などもまだ営業していないため、現金を引き出すこともできないし、もちろんクレジットカード払いができる国でもない。「毎日イモ、ナン(アフガニスタンの主食のパン)、イモ、ナンの繰り返しの食生活よ」と、夫の叔母は笑いながら話してくれた。