外務省通り。以前はテロを恐れて封鎖されていた道もタリバンが来てすべての封鎖を解いた。正面に見えるのはショッピングセンターで、上の階はマンションで富裕層が住んでいる。道の真ん中の黒と黄色のブロックは、道路の中央分離帯の役割をしている。道を歩いているのは一般市民(カブール市民撮影)
外務省通り。以前はテロを恐れて封鎖されていた道もタリバンが来てすべての封鎖を解いた。正面に見えるのはショッピングセンターで、上の階はマンションで富裕層が住んでいる。道の真ん中の黒と黄色のブロックは、道路の中央分離帯の役割をしている。道を歩いているのは一般市民(カブール市民撮影)

 友人ファリッドからショッキングな画像が送られてきたのは16日のこと。その画像は、野菜か何かを運ぶプラスチック箱に入れられて路上に放置され、泣き叫んでいる赤ん坊だった。「空港から脱出しようとする人が置いていったようだ。こんな光景を今、あちこちで見る」と義弟。

 ファリッドと18日に話した時には、タリバンが町を占拠してからカブールは「静まり返っている」と言っていた。「タリバンはコソ泥を捕まえては顔を黒く塗り、市中引き回しにしているんだ。泥棒などが格段に減ってむしろ治安は良くなった」という。


カブール市内のバザール(屋台市場)の様子。人出もあまりなく、品数も非常に少ない(カブール市民撮影)
カブール市内のバザール(屋台市場)の様子。人出もあまりなく、品数も非常に少ない(カブール市民撮影)

 カブールから脱出しようと空港に向かうカブール市民も多い。義姉一家もそうだ。日本でテレビの映像などを見た筆者の夫が、「空港は大混乱のようだ。落ち着け。今は行くな」とメッセージを送ったにも関わらず、一縷の望みをかけ、家族で空港に行ったという。前々日に、知り合いの家族が脱出できたというのを聞いたからだ。だが空港は、国を脱出したい人たちであふれかえり、それが群衆になることでまさに半狂乱状態となり、警備兵は発砲を繰り返す、人々はわめき、子どもは泣き叫ぶという、まさに阿鼻叫喚の世界であったという。姪も倒れたところ踏みつけられ腕の骨を折り、明け方泣きながら帰宅したという。

■「毎日イモ、ナン…」

 タリバンからも前政権からも正式な発表は限られている中で、人々はFacebookの情報や口伝えの噂に右往左往され、不安は相当に高まっている。物価も高騰している。アフガニスタンが産地の野菜などはさておき、油や小麦、ガソリンなどすべてが3、4倍に跳ね上がっているようだ。また陸路が封鎖されているため、品物自体も出回っていないという。銀行などもまだ営業していないため、現金を引き出すこともできないし、もちろんクレジットカード払いができる国でもない。「毎日イモ、ナン(アフガニスタンの主食のパン)、イモ、ナンの繰り返しの食生活よ」と、夫の叔母は笑いながら話してくれた。


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空路がだめなら陸路で