エンブレムの盗作騒動や招致を巡る買収疑惑、女性の容姿を侮辱する言動等々、振り返れば(まだ大会が始まってもいないのに!)東京五輪を巡る不祥事は数えきれない。「負のレガシー」として記憶にとどめておくべき出来事や人物を、“時事芸人”のプチ鹿島さんに選んでもらった。
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「数々起きたゴタゴタは、どれもこれもすごい。ランキングをつけるにしても、オリンピックらしく大接戦ですね」
新聞14紙を読みこなし、時事ネタを得意とする芸人のプチ鹿島さんは開口一番、そう語った。
2013年9月、IOC総会で東京大会の開催が決まると、大きな喜びが日本を包んだ。しかしその後、数々の問題点が噴き出した。鹿島さんは、招致運動のプレゼンテーションでついた「嘘(うそ)」が、その後のゴタゴタの伏線になっていると感じている。
「安倍(晋三首相。肩書はいずれも当時)さんが原発の汚染水について『アンダーコントロール』と言ったわけですが、その嘘がブーメランのように返ってきています」
福島第一原発の汚染水漏れはその後も続き、廃炉への道筋すら、いまだにめどが立たない。
「『東京の夏は温暖で理想的な気候』というのも、よくぞ言ったものです。暑さもコロナウイルスもコントロールできないまま、大会は始まります。『お・も・て・な・し』という言葉も今思えば、“五輪貴族”に対するおもてなしのことだったんでしょう。入管に閉じ込められたまま亡くなる外国人もいる国なのに……。海外の選手たちを隔離して、どうおもてなしをするんでしょうね」
招致運動をめぐる買収疑惑が明るみに出て、フランス当局の捜査対象となった竹田恒和JOC会長は、任期満了とともに退任した。
「フランス側の捜査は続いています。JOCは違法な支出ではないと発表しましたが、疑いがもたれている当事者がお手盛りの調査をしただけ。森友問題の財務省と同じです。招致に大金が動く構図が想像され、アメリカのテレビ局のため真夏に開催することも含め、五輪はIOCの興行にすぎないことが可視化されました」