
■自分は完璧ではない
――厚生労働省の「雇用均等基本調査」によれば、2019年の男性の育児休業取得率は7.48%。育児休業について何も知らなかった魚返は、同期で“育休マイスター”カマチ(赤ペン瀧川)から、その数字も含め、育休についての知識を得る。
僕もこのドラマの話をいただくまで、育休について考えたこともありませんでした。周囲の友人などを見ても、育休を取ったという話を聞いたこともありません。一口に育児といってもやることはたくさんあります。オムツ交換、ミルクを飲ませる、沐浴……と、本当に盛りだくさん。今回、育児のつらさを疑似体験しましたが、知っているのと知らないのとでは大差がつくでしょうね。知ってよかったと思います。
――少し情けない魚返を演じるにあたって、瀬戸さんが山口監督から言われたのは「素直であること」「本当に妻の愛子を好きだということ」。そして、瀬戸さんが普段から演技で大切にしていることは、「役を自分から遠ざけない」ことだという。
それは、たとえどんな性格の悪い役だとしても同じです。自分は完璧ではありませんし、性格の悪いところも絶対あると思う。そういうところから役を理解し、どんどん広げていく。魚返で言うと、すべての子どもをかわいいと思っているわけではないところ。ドラマでは「隠れ子ども嫌い」となっています。僕は子どもが好きですが、魚返と同じ。でも、自分の子はかわいいだろうなという想像はつく(笑)。カマチと子どもの写真を見せ合うシーンがありましたが、僕もやっちゃいそうです。
――瀬戸さんにとって、赤ちゃんの扱いは、ドラマ「透明なゆりかご」で産婦人科の院長役を演じた時に経験済み。本作では、生まれたばかりの新生児から1歳くらいまでの4、5人の赤ちゃんにかかわった。
■演技プランも何もなし
抱っこは首のすわった赤ちゃんであれば縦(=普通の抱っこ状態)に抱くのは問題ないんです。でも、首のすわってない赤ちゃんを横にしてここのゾーン(と言って、肘を直角に曲げる)に頭をきちんと収めるのは、すごく難しい。まずは人形で練習したんですが、人形は動かないからできる(笑)。指導の先生も褒めてくださった。ところが、本物の赤ちゃんになると……難しかった。
それに、コロナ禍でしたから、特に赤ちゃんの撮影は厳戒態勢。必要最低限の人数で行われました。僕も本当は手で「かわいいかわいい」とやりたかったんですが、この状況では触るのも怖かったです。