
一方、菅首相は都議選の結果を受けて「自民党と公明党で過半数を獲得できなかったのは、謙虚に受け止める」とうなだれた。
公明党の幹部はこう話す。
「東京五輪・パラリンピックで菅首相は有観客に最後までこだわったが、小池氏は『無観客を軸に』とコロナ感染拡大の防止こそ先だと退院後、記者会見で訴えた。国民の関心は、五輪よりコロナ。そこを小池氏は読み切っていた。そして事前予測では10議席ほどだった都民ファを31議席まで押し上げた。今、世論調査をすれば、首相にしたい候補で一番、高い数字をとるのは小池氏でしょう」
衆議院の任期は10月までと迫り、解散総選挙は目前だ。自民党の竹下派の国会議員からは「菅首相で衆院選を戦うと、勝ち目はゼロだろう」と痛烈な批判もある。
自民党内では二階幹事長や中谷元元防衛相らが「小池知事の国政復帰」「新党待望論」などとラブコールを送っている。
その中で注目されているのが、公職選挙法違反で略式起訴となり議員辞職に追い込まれた元経産相、菅原一秀氏の地盤だった衆院東京9区だ。菅原氏は公民権停止が3年となり、この期間中は選挙に立候補できない。
空席になった東京9区から小池氏の出馬が取りざたされている。衆院議員時代は東京10区が地盤だった小池氏。自宅である通称「エコだハウス」は練馬区内にあることから9区は小池氏の地元のようなもの。
「東京9区に自民党から候補を立てず、小池氏には無所属で出馬してもらい、当選すれば戻ってもらうというのが一番ベター。二階氏はその案を想定しているようだ。略式起訴された菅原氏に忖度など必要はない。二階派には総裁候補がいませんからね。菅首相は小池氏の自民党復帰に反対するでしょうが、支持率は低迷し、選挙に勝てないとなれば、党の方針に従うしかありません」(二階派幹部)
慌ただしくなってきた政局。次の選挙の顔は一体、誰になるのか。
(AERAdot.取材班 今西憲之)