コンビニの新アイスコーヒーが出そろった。なじみのある商品だけに「何を今さら」と思うだろうが、6月はコンビニコーヒーの売れ筋がホットからアイスに切り替わる時期。毎年このタイミングに合わせ、定番のアイスコーヒーをリニューアルするのが恒例なのだ。
今年は大きな変化がある。セブン-イレブン(以下セブン)、ファミリーマート(以下ファミマ)、ローソンとも、リニューアルどころではないこだわりを見せ、より本格志向へ舵を切った。背景には、コロナで変化したコーヒーの楽しみ方にある。
変化をひとことで言えば、コーヒーにも「うち飲み派」が増えたことだ。
それを裏づけるように、一般社団法人全日本コーヒー協会は2020年の業界重大ニュースに“おうちカェブーム”をあげ、「在宅時間の増加により家庭内消費が拡大、コーヒーのおいしい淹れ方や飲み方への関心が高まる」とした。確かに、家電量販店を見るとコーヒーメーカー売り場が広くなっているし、今まで一般向けではなかったコーヒー豆卸業者や、銀座ルノアールやドトールコーヒーといったコーヒー専門店が次々とオンラインショップを開設し、豆や粉を家庭に宅配する「コーヒーEC」が活況を呈している。今夏のコンビニアイスコーヒーが本格的になった要因のひとつは、ステイホーム中に舌の肥えたコーヒー好きを取り込む狙いがあってのことだ。
〇「高級キリマンジャロ」で勝負に出たセブン
大手3社のうち、一番早く5月下旬に新作を発表したのがセブン。定番に加え、初めて「セブンカフェ 高級キリマンジャロブレンド」アイスコーヒー(レギュラー・110円)を出した。商品本部の園田康清さんはいう。
「コンビニコーヒーの販売は来店客数と密接に関わっていますから、生活スタイルが変化した昨年1年間は苦戦しました。ただ、アイスコーヒーはご家庭で作るよりセブンカフェに優位性があると考えており、今回初めてキリマンジャロをブレンドした贅沢なアイスコーヒーを作ったのです」