「安全への慢心」があったのか?
(米領・グアム)
毎年、多くの日本人旅行者が訪れるグアム。今回の暗殺を憎む声とともに聞かれたのが、「安全への慢心」を疑う声だ。
「今まで聞いたことがないような事件が起きて衝撃を受けています。ただ警察やボディガードはなぜ身を挺して安倍さんを守らなかったのか。日本がセキュリティレベルの低い国になってしまったことが残念です」(アレキサスさん・30代・女性 )
事件時の映像は海を越えて海外でも放送されたため、ニュースを見ながら対応に疑問を感じる声もあった。
「ニュースを見て一番驚いたのは1発目の発砲のあと安倍さんも周りの人も誰も地面に伏せなかったことです。日本の映画やドラマの銃声は本物とまったく違うから誰も銃が撃たれたと気づかなったのでしょうか」(シレナさん・20代・女性)
一つの事件だけで「危険な国になった」とは言えない
(オーストラリア)
最後は、将来的には日豪同盟の可能性までささやかれるオーストラリアから。経済的な結びつきも強く、また「時差も少なく、西洋とは別の異国情緒を楽しめ、かつ安全な国」として日本は旅行先としても人気を誇る。
実際に日本に住んでいたことがある一人からはこんな声が寄せられた。
「日本は本当に安全に国でしたし、こんなことが起こるとは思わなかったのでショックを受けています。これを持って<日本が危険な国になった>とまでは言えませんが、<以前よりも危険>なのかもしれません」(ボニーさん・大学職員・20代・女性)
ただしこの事件だけですべてを判断するのは「木を見て森を見ず」ではないかという声もある。
「<日本は安全な国>という私の見解は、この事件一つでは変わりません。非常に不幸な出来事だと思いますが、こうした銃撃事件が日常的に起きているわけではないからです。非常に厳しい銃規制を敷いている日本で、同様の事件が再び起こる可能性は極めて低いと考えています」(ローラさん・教員・20代・女性)
「<日本は安全な国>という私の認識は変わりません。一つの個別の事件だけをもってして、私は<その国を訪れるのは安全ではない>と思うことはありません」(ラクランさん・IT系エンジニア・30代・男性)
海外からも「安全」と見られてきた日本。その信頼を裏切らないためにも、この事件をより平和で安全な社会づくりのための教訓にしたい。
(柳沢有紀夫・海外書き人クラブ)
◯取材協力/海外書き人クラブ 針貝有佳(デンマーク) 陣内真佐子(米領グアム) 柳沢大河(オーストラリア)
※AERAオンライン限定記事