「各地域によって若干の差異はありますが、接種できている医療従事者の割合は、実はまだ10~20%です。しかし遅れを表面化させないため、高齢者もアリバイ的に同時並行でスタートしてメディアに報道させている。あまりにひどい世論誘導です」(先の政府関係者)

 これ以降、高齢者施設の従事者200万人、基礎疾患のある人1030万人、60~64歳の750万人、さらにはそれ以外の国民の接種が控えるが、まだ見通しは示されていない。厚労省の担当者はこう言う。

「高齢者の接種がどのくらいのスピードで進むのか、どのくらいの人が打つのか、また、ワクチンが供給できる量を踏まえながら、次の段階を検討していく。今はファイザー社のワクチンが日本で供給されているが、他の2社のワクチンが承認されれば、供給量が増える。それを受けてどうするか検討していく」

 こうした政府の態度について、専門家からは「本当に確保できるのか不透明」と不安の声もあがる。先の政府関係者はこう懸念を語る。

「医療従事者は5月上旬、高齢者分は6月中に供給完了というのが表向きの公式スケジュールですが、またどこかのタイミングでいろんな理由を付けて延長していくでしょう。ワクチン接種の完了時期は『未定』というのが実際のところです」

 なぜワクチン確保がここまで遅れているのか。日本ワクチン学会理事などを務める長崎大の森内浩幸教授は、「政府の危機感が弱く、甘く考えていたのではないか」と見る。

 接種が進む国はどうワクチンを確保しているのか。接種率1位のイスラエルは、米ファイザーとワクチン供給の契約を結んだ。イスラエルはワクチン接種に関する重要な医療データをファイザーに提供する見返りに、大量のワクチンを先行して手に入れたと言われている。一方3位のイギリスでは、英オックスフォード大と英アストラゼネカがワクチンを共同開発しており、ワクチン開発を行える組織が国内にあったことで確保につながっているとみられる。森内教授はこう語る。

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