ワクチンの集団接種会場視察のため、陸上自衛隊のヘリコプターで八王子市庁舎付近に到着した菅義偉首相(中央)=12日、(c)朝日新聞社
ワクチンの集団接種会場視察のため、陸上自衛隊のヘリコプターで八王子市庁舎付近に到着した菅義偉首相(中央)=12日、(c)朝日新聞社
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 新型コロナワクチンの日本の人口に占める接種者の比率は1%未満で、世界と比較して大幅に低いという衝撃の事実が、AERA dot.が入手したデータでわかった。政府は当初「6月末までに全国民に提供できるワクチン確保を目指す」としていたが、その目途は立っておらず、政府関係者からは「日本の敗戦」という声もあがる。

【図表】AERA dot.が独自入手した世界70か国・地域のワクチン接種率データはこちら

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「6月末までには少なくとも1億回分を確保できる見通しでありまして、医療従事者と高齢者の2回接種に十分な量であります」

 12日に開かれた衆院決算行政監視委員会で、菅義偉首相は新型コロナウイルスワクチンについてこう述べた。十分なワクチンを確保している認識を示した格好だが、政府の態度について政府関係者はこう漏らす。

「『やってる感』『闘ってる感』を出していますが、日本はワクチン敗戦国ですよ。こうした事実を正直に国民に示し、説明するべきと考えます」

「ワクチン敗戦国」とまでいうのは、どういうことか。本誌が入手した政府の内部資料によると、日本国民でワクチンを接種しているのは約96万人で、人口に対する接種率はわずか0.76%(4月5日現在)にとどまるのだ。

 この資料には70の国・地域の接種率データが示されているが、最も接種が進んでいるのはイスラエルとブータンで、人口の6割以上が一回以上接種している。先進7か国でみると、イギリスが46.58%でトップ。アメリカ32.48%、カナダ15.47%、フランス13.73%、イタリア12.88%、ドイツ12.58%となっている。お隣の韓国は1.95%で52位で、日本はジンバブエ、チュニジアに続いて60位。1%にも満たない日本の出遅れは他国と比較しても顕著だ。

 政府はこれまで米国モデルナ・武田薬品工業、アストラゼネカ、米国ファイザーの3社とワクチン供給の契約を結んだことを公表。日本の人口を超える数を確保している、としている。2月から、医療従事者等480万人への優先接種を開始。65歳以上の高齢者3600万人に対しても、今月12日から優先接種を始めた。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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なぜワクチン確保が遅れているのか