撮影:赤城耕一
撮影:赤城耕一
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写真家・赤城耕一さんの作品展「録々」が12月18日から東京・新宿のオリンパスギャラリー東京で開催される。赤城さんに聞いた。

【写真作品】赤城さんが撮る「ロクロクの世界」

 今回、インタビューを行ったのは西武新宿線、東伏見駅近くの喫茶店。

 改札口で待ち合わせ、駅を出ると、赤城さんは「あれが西村カメラさん」と言って、ロータリーの向こうに見える大きな看板の写真店を指さした。(ああ、これがあの店か)。ファンの多い評判の店なので、私も名前だけは知っていた。しかし、そのすぐ後、「長い話になるんだけど」と前置きされ、この店との出合いから始まった10年にわたる作品づくりの話を聞かされることになるとは、思いもよらなかった。

撮影:赤城耕一
撮影:赤城耕一

何かを追求しようとか、そういう気持ちはまったくない

 赤城さんの作品展は2005年の「気表(かお)」以来、15年ぶり。

 前回は有名俳優から職人、市井の人々まで、約20年間にわたり撮影したポートレートのモノクロ写真を展示した。

 で、今回はというと、「被写体にあまり強い意味はない」と言う。「何かを知らしめようとか、何かを追求しようとか、そういう気持ちはまったくない」。つまり、前回とは正反対の内容の写真展なのだ。

「だから、作品を見た人から『これはいったい何ですか?』って、言われたらうれしいですね。例えば、人だったら、周囲の状況を含めてその人の面白さをとらえたのであって、その人が誰である、ということはぜんぜん関係ない。まあ、われわれの世界は謎に満ち溢れているんですよ。何だかわからないって、好きですね」

 そう言うと、「ふふっ」と笑い、目じりをゆるませた。

 作品に写るのは青空を背景に銀色に光る貯水タンク、窓ぎわに置かれた小さなゾウの置物、スーツケースに物干し竿をくくりつけたおじさん、古びた物置小屋、うつむき加減で歩く子どもたち……。

 人がいれば、モノもある。真新しいものがあれば、古びたものもある。撮影場所もバラバラで、何の脈絡もない。

 ところが、不思議なことに作品のつながりには違和感がない。ほどよく肩の力が抜けているというか、画面の中から心地よい風が吹いてくるような気がした。そんな感想を赤城さんに伝えると、「初めて言われたよ」と、微笑んだ。

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真四角の画面だけが「お約束」