本書はクリエイティブディレクターの水野学氏と、人文科学・経営科学の研究者にして著述家である山口周氏の対談をまとめた一冊だ。今どれも似たりよったりの商品・サービスが生まれている中、これからのビジネスには「世界観」の構築が必須であると2人は説く。

 水野氏はブランドロゴやテレビCMなど、クリエイティブの中に世界観を創りその他サービスとの差別化を図ってきた体験を語る。山口氏は、それをスターバックスでのイメージ戦略やアップルのiPhoneなど成功したサービスの世界観と比較し分析していく。対談が進むにつれ「意味をつくり、価値を転換させる」「物語をつくり、シーンを演出する」など、ビジネスとクリエイティブを融合させるためのヒントが次々と生まれてくる。

 そのため、企業にとっては打開策となりえる一冊だ。(新井文月)

週刊朝日  2020年9月25日号