世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■段階的な規制解除がもたらす繁華街の変化
タイの首都・バンコクは日本と同様にコロナ禍に陥り、その後段階的に規制が緩和され始めている。
だが、7月1日から施行された規制緩和のガイドラインが、バンコク好きの日本人たちを大いにざわつかせた。パブやバーなどの飲み屋は、深夜営業が禁止(午前0時まで)になり、ダンスや歌をうたうのも禁止。加えて、客の隣に座っての接客というのもできないようだ。これでは営業できない店も出てくるだろう。
さらに驚いたのが、マッサージパーラーについての規制だ。マッサージパーラーとは、日本でいうソープランドのようなところで、性的なサービスを提供してくれるお店だ。
そこで義務付けられたことの一つが、入店前の利用者登録。初回は電話番号を登録する必要があり、その後は店の前にあるQRコードを読み込む仕組みである。実際にマッサージパーラーでどのように導入されるかはわからないが、現在のところこのやり方はコンビニなどあらゆる業種で実施されている。
ここまでの規制緩和のガイドラインは現地の友人に教えてもらった。その彼がマッサージパーラーでもっとも懸念しているのは、「入浴時以外は嬢がマスク、フェイスシールドを着用すること」だという。
いわゆる“プレイ”をするときに、嬢がマスクとフェイスシールドを着用していたら、「萎えます」と友人が話す通り、想像するだけでかなりのインパクトである。ちなみにガイドラインではマスクなどの着用について「トゥッコン(全員)」とされており、客と女の子の双方がそれらを着用することになるという。だがポジティブな友人は「貴重な体験ができそう」と笑っていた。
こうしたガイドラインがどこまで守られるのか、正直なところわからない。というのも、これまでに政府が打ち出した規制は、どれも徹底されていないからだ。コンビニやデパートの入店時に徹底するはずだった利用者登録とQRコードの読み取りについても、守られていたのは最初の一週間ほどで、今では店側がチェックすることも稀になってきているという。こうしたタイ人の気質と、これまでの“なし崩し的な規制緩和”の実績から考えると、今回の規制もそれほど長く続かないというのが友人の見立てだ。今後のバンコクの動きに注目である。(文/丸山ゴンザレス)