
猫の粗相で困っている人はどのくらいいるのだろう。おしっこで濡れた布団を洗うたびにそう思う。うちの猫だけ、ということはないと思うけど。
クロ(写真左、雄、6歳)は、半年に1回くらいの割合で布団やソファにおしっこをする。なんか興奮してるなと思いつつも忙しさにかまけて無視しているとやってしまうようだ。
これまでに布団や毛布を何枚捨てたことか。今は捨てずに洗っている。あの強烈な臭いも、時がたてば粗相の張本人も気づかないくらいになるようだ。
クロがおしっこをしてしまうのはストレスのせいだと思う。とりわけ好奇心が旺盛なクロ。外の空気を吸って、草むらの匂いをかいで、トカゲを追いかけることができたらどんなにいいだろう。私もそうさせてあげたい。だが、そうできないでいる。室内飼いの安全と安心を選んでしまう。
クロと一緒に生まれた同胞猫のあづり(同右、雌)にも、粗相というか、おかしな癖がある。ウンチを猫トイレではなく床にするのだ。犬ならアスファルトの路面でも用を足す。でも、猫となると珍しいのでは。
あづりはどうも鉱物系の猫砂以外は気に入らないようなのだ。紙砂派の私としては彼女のために譲歩すべきか悩むところである。ちなみに床に転がるウンチをすくうには古い写真が最適だ。おかげで終活で整理した写真にも使い道ができた。
そんな猫たちと6年前から始めた田舎暮らし。波音の聞こえる庭で土いじりをしている。ふと顔をあげると、ガラス越しにこちらを見つめる視線に気づく。目が合うと、さっと視線をそらしてしまう。そのあたりの機微が何ともおもしろい。そのそっけなさが好きだ。
猫には猫の事情があるのだろう。猫との暮らしはいつまでも飽きない。
(荒川利枝子さん/三重県/68歳/自由業)
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