「赤ちゃんはどこからくるの?」子どもからの素朴な疑問にあなたならどう答えますか? また、子どもが性被害に遭わないようにするために何を教えますか?
子どもを持つと避けては通れない「性の話」。どう伝えるべきか悩んでいる人に、ぜひ手に取っていただきたいのが『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』です。
本書は、マンガイラストレーター・フクチ マミさんによるコミックエッセイ。思春期にさしかかった中高生の子を持つ家庭に向けた性教育の本は多数存在しますが、本書は3~10歳の子を持つ家庭を対象にしています。
幼児期からの声かけや接し方、思春期に訪れる男女の心身の変化などについて、親子で学ぶことができる内容になっています。ふたりの子どもを持つフクチさんや周囲の編集者など、親からの疑問や悩みについて、長年性教育に携わってきた村瀬幸浩さんが回答・解説するスタイルです。
たとえば、「性教育といっても何から始めればいいの?」という疑問に対して、村瀬さんは「プライベートパーツの話が日常の中で伝えやすい」と言います。
プライベートパーツとは、口、胸、性器、おしりのこと。これらは「他人が(親であっても)勝手に触ったり触らせたり、見ようとしたり見せたりしてはいけない部分」だと村瀬さんは解説します。とはいえ「小さい子をお世話するときは触らないなんてできない」「おしりを触ってキャッキャふざけるのも親子の楽しいコミュニケーションかなって」とフクチさんたち。小さいお子さんを持つ方ならよくわかる言い分ではないでしょうか?
これに対して村瀬さんは「お世話や看護で必要な場合は別。それ以外のことでプライベートパーツを触ったり見たりしてふざけるのはよくない」「コミュニケーションなら他の方法でとってほしい」「親のほうが意識して線引きしてあげないと、プライベートパーツを勝手に見たり触るのが『好き』の表現だと教えてしまうことになりかねない」(本書より)と説明します。
子どもがしてしまいがちな「スカートめくり」や「カンチョー」などのおふざけも、「好きだから意地悪をした」「友だち同士だから」などの理由で叱らずにいたら、子どもが体を触られても拒否できなくなってしまい、取り返しのつかない性犯罪に巻き込まれる恐れもあると指摘します。また、こうした間違った認識から、相手が嫌がっていることに気付かず、性犯罪の加害者になってしまうことも考えられると村瀬さん。こうした説明を聞くと、親が問題ないと思っていても、良くないことにつながる行為かもしれないのだと認識を再構築できます。
今までは「性の話」をタブー視してきた家庭が多かったため、今の親世代は子どものころに性教育をあまり受けてこなかった人がほとんどでしょう。そのため、まずは親自身が性について学ぶことが必要だと村瀬さんは言います。
本書ではほかにも、男の子の射精や精通のこと、女の子の妊娠や生理のこと、防犯のために知っておきたい「NO・GO・TELL」(いやだと言う・逃げる・信頼できる大人に話す)の考え方、性にまつわるQ&Aなど、さまざまな情報が記載されています。村瀬さんが、丁寧な解説とともに、子どもにどのように伝えるべきかを教えてくれます。
もし自分の子どもが性のことで悩んだとき、いつでも絶対的な味方でいられるように。そして将来、自身と相手の心身を大切にできるように。本書を通して、まずは大人の皆さんが性の知識を深めてみてはいかがでしょうか?
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