●テレワーク環境で部下としてどのようにコミュニケーションをとればよいか
一方で、部下としても上司に対してやったほうがよいことがある。ここでは、それを考えよう。
テレワーク中の上司の不安は「部下はどうしているのか」「仕事は進んでいるのか」「知らないところでトラブルが起こっていないか」というもので、すべて部下の様子がわからないところからきている。そして、ひたすら心配する上司もいれば、報告という形で詳細に求める上司もいる。まずは、そういう上司の状況を念頭に置いて対応を考えよう。
部下としては、日頃、口頭のコミュニケーションで済んでいるものを、改めて文書で出すことに、煩わしさや戸惑いを感じる人もいるだろう。ただ、こういうときこそ上司対応のレベルとスキルを上げるチャンスだと考えよう。
特にポイントとなるのが、報告と相談だ。まずは、原点に立ち返って考えるとよい。
本来、報告は「仕事の発注者に対する情報提供サービス」である。だとすれば、相手がほしい情報をほしい順に記したほうがよい。具体的には、全体像や結論から記す。例えば、日報的なメールの最初に全体像を「本日は顧客対応8割、事務処理2割のワークでした」というように記す。また、個々の案件については「A社から納品に関する苦情がありましたが、解決しました。苦情の内容を具体的に申しますと」というように結論から記す。
相談は「問題解決のために他者に意見、判断を求める情報収集」であり、ポイントは自分案をつけることだ。例えば、「いま、こういう問題が発生していて、自分としてはこのように解決したいと思っている」というように記すとよい。
なお、相談に関しては、メールと電話を組み合わせたほうが短時間に解決できる場合がある。例えば、自分案の解決策がAとBの2つある場合、各案の概要だけメールで送っておき、電話でやりとりすれば、可能性の少ないほうの案について、詳細な記述をする必要がなくなる。
次に報告のタイミングを考えてみよう。日報的なものが義務付けられておらず、企画書や、記事、デザインなどの成果物を提出することが少ない場合、どの程度の頻度で上司に連絡を入れるかは、悩むところだ。
上司層に話を聞いてみたところ、1週間に2回ぐらいは、短くてもよいので近況報告をしてくれると、安心できるし、コミュニケーションのきっかけにもなるという意見が多かった。
例えば、月曜に大まかな今週の予定を、水曜に短い進捗報告を、金曜には今週のまとめと来週の予告を、というようにするとよい。報告を面倒な義務と思わずに、上司へのプレゼンと考え取り組んでみよう。それは、必ず日常業務に戻ったときにプラスになるはずだ。