今や企業のマーケティング担当にとって、ツイッターは無視できないツールとなっている。しかし現実的には成功例はわずかで、いまだ正解が見えないのも事実だ。経営とマーケティングのスペシャリストである足立光氏の著書『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』から、元Twitter Japan広告事業本部長・味澤将宏氏との対談を紹介する。
【ユーザーを巻き込む仕掛けにしたマクドナルドのツイートはこちら】
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足立:ツイッターでは、「話題化を促進する」ようなキャンペーンにすることが大切だと、よくお話しされてますね。ツイッターのコンテンツだけじゃなくて、キャンペーン全体が話題化できる仕組みになっている、という意味だと思いますが。
味澤:みんなが会話したくなる「ネタを置いておく」というのは、まさに全体の設計にかかわることですよね。マクドナルド時代に足立さんが実施した「これはビッグマックなのか?」のキャンペーンもそうでしょう。ただ、やはり製品やサービスに関連するところで話題になるということが重要だと思います。
足立:マクドナルドでは、こういう話題にしたいから、こういう新商品を作ろうという順番で考えていました。普通は逆で、この製品やサービスを、どうやって話題化しようかと考えるわけです。それでは、なかなか話題化できないんですね。「これはビッグマックなのか?」のキャンペーンでは、誰もが知っている「ビッグマック」にベーコンを加えたら、それでも「ビッグマック」と呼べるのか、という「対立」をつくって、ツイッター上でみんなが「自分はビッグマックだと思う」「いや違う」と「対立」して会話になるようなネタを提供したわけです。
味澤:アメリカのツイッターで、2018年にハインツが「マヨチャップ」というマヨネーズとケチャップを混ぜた新商品を出す際に、ツイッターで「マヨネーズとケチャップを混ぜた商品が出たら買う?」と問いかけて、「買うという人が50万人いれば、製品化します」と発表したわけです。このキャンペーン自体が非常に話題になって、テレビにも取り上げられました。実は、キャンペーンの大きな目的は、「ハインツ」と「マヨネーズ」を結びつけることでした。ハインツはケチャップでは世界的に有名ですが、マヨネーズはほとんど知られていません。その意味でも大きな成果を上げました。マヨネーズかケチャップか、混ぜるか混ぜないか、というのはアメリカにある古典的な「対立」のネタですが、それをうまく活用したわけです。