林:たしか「オリバー!」は、ファンのみなさんが選んだ「2021年のミュージカルベストテン」の上位に入っていたと思いますよ。
市村:あ、そうなんだ。確かにあの話はよくできてますよね。トニー賞をとっただけのことはあるなと思う。音楽もいいしね。新作だからなかなか手ごわかったけど、やってるうちに自分のものになっていって、楽しかったですね。
林:お坊ちゃん(市村優汰)もお出になって。
市村:そうなの。息子とミュージカルでは初共演でした。彼もオーディション受けて。
林:あ、オーディション受けたんですか。
市村:みんなはオーディション受けて、僕だけご指名なんです。
林:それじゃあ、お坊ちゃん、パパの偉大さがよくわかったんじゃないですか。
市村:わかってないみたい。「やっぱりパパは音程が悪いね」とか言われてますよ(笑)。
林:イケメンで、なかなかきれいなお顔立ちでした。
市村:下の子もなかなかですよ(笑)。2人ともユニークです。下の子はいま5年生だし、上の子は中学生で、いいです、色気づいていて。
林:市村さん、何かのインタビューで、「前は役者になることを反対してたけど、やりたいならやらせてやってもいい」とおっしゃってましたね。
市村:初っ端は僕が反対だったんです。子役って大変だから、あまりさせたくないなと思ってたんだけど、やっぱり蛙の子は蛙で、上の子が「ビリー・エリオット」という作品のオーディションを受けて、落ちたあと一生懸命タップダンスを習い始めたんです。どんどんよくなっていく姿を見て、やっぱりやりたいんだなと思って。
林:それで「オリバー!」のオーディションを受けさせたんですか?
市村:受けたいと言ったので、あれは子どもがいっぱい出るから、どこかに入れるかもしれない、そうなったら勉強になるなと思って受けさせたんです。そしたら「スネイク」という役をもらってね。千秋楽の日、子どもたちが大泣きしている姿を見ると、こっちも感激するし、刺激になりましたね。
林:なるほどね。
市村:それと同時に、早めに一緒にやりたいなという欲が、僕の中に生まれちゃったんです。下の子もピアノと歌を習い始めたので、血は確実に流れてるんです。
(構成/本誌・唐澤俊介 編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2022年7月8日号より抜粋