ドルベースで23%マイナスの年初来安値をつけた米国S&P500。ビギナーには初の「受難」だが、投資で成功する一番簡単な方法を見つけた。AERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。
【グラフ】一括投資と積み立て投資を比較!プラスになったのは?
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ここ数年で投資信託に積み立て投資を始めた人は、昨年まで順調に資産を増やしてきた。だが、今年はビギナーにとって初の「受難の年」だ。
米国市場を代表する株価指数S&P500は1月3日の時点で4796ポイントだったが、6月16日の終値(その日の最終取引価格)で3666ポイントの年初来安値をつけた。実に23%超の下落幅である。
もっとも、円に換算したS&P500はそこまで落ち込んでいない。今年の高値は4月19日で、ウクライナ侵攻により米国株式が下落した後のこと。そこから直近まで最大で15%の下落にとどまっている。後述するが、円安に救われた格好だ。
この影響は、日本の投資信託にどう出ているか。つみたてNISAの純資産総額が1兆1828億円(6月20日)でトップの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を例に、基準価額を見てみよう。
年初1月4日は1万9291円。年初来安値は円安モード突入前の3月9日につけた1万6876円だが、やはりウクライナ侵攻開始後の4月20日が最高値で2万191円だ。この時点から直近6月20日の基準価額1万7423円まで下がった。ドルベースでは23%の下落なのに、日本の投資信託は約14%のマイナスで済んでいる。
円安でダメージ減
この違いは、為替によるものだ。一時1ドル=135円台まで急速に進んだ円安がエアバッグの役割を果たしたのである。
わかりやすい数字に置き換えて説明しよう。1ドル=100円の時点で4800ドルだったS&P500を円換算すると48万円。それが3千ドルまで下がっても、1ドル=140円の円安になっていると円換算額は42万円。ドルベースよりも下げは小幅になる。
とはいえ、投資歴数年の人にとって半年以上も下落が止まらない状態は心穏やかではないだろう。ただ、2008年9月のリーマン・ショック後と比べれば今回の下落はマシなレベルだ。