経験を積み、霧や光芒が出やすい場所を覚え、その日の気象条件によってカンを働かせ、「今日はこの場所で勝負してみよう」と判断することから光芒の撮影はスタートする。
光芒が現れたら、それをパッと見た瞬間に、つくり上げる写真をイメージして、立ち位置を決め、三脚を立てる。レンズ選びも一発で、迷いなく決めなければならない。でないと光芒は撮れない。
光芒だけでも絵になるけれど、光が当たったところにポイントとなる紅葉があると、より光芒が生きてくる。
■フレアとゴースト対策が必要
冒頭の写真は、光芒が出ることをねらっていた紅葉の森の開けた空間。
下の写真は、きれいな並びの木の下に紅葉があった。光芒のスポットライトが当たる前に、それをきちんと把握して撮り続けていると、運がよければ、このように撮れる場合もある。

光芒は強い光によって発生するので、撮影時にはフレア、ゴースト対策が必須となる。
太陽が画面内に入ると、どうしてもフレアやゴーストが出やすくなるので、画面から外してしまうのが一般的な対処法。
画面に太陽が入らなくても描写がふわっとあまくなるので、右ページ下の写真のように太陽を画面の外の木の裏に隠してしまうこともある。ほとんどの場合はこれでフレア、ゴーストが収まるが、うまくいかない場合もある。
そんなときは、もしフィルターを装着していれば、外してみる。最近の製品はコーティング性能の高いものが多いが、ちょっと傷んでいたり、古いものはフレアやゴーストが出やすい。
それでもだめなら、絵柄が変わらない程度にフレーミングをほんのわずかに修正し、レンズに入射する光の角度を変えてやるのもいい。
写真・文=辰野 清
※『アサヒカメラ』2019年10月号より抜粋