
そんなエピソードを思い浮かべつつ、私はプロモントリー・サミットへと向かった。サミットというから急な峠を想像していたが、そこは起伏はあるものの360度見渡す限りの大平原で、まさに西部劇の世界だった。セレモニーは東から走ってきたUPの蒸気機関車119号と、西から現れたCPの「60号ジュピター」が対面し、ゴールデン・スパイクを打ち込み、その模様をワシントンに打電、最後に祝杯をあげるというもの。
出演者も観客も開拓時代の衣装に身を包んで楽しんでいることが、いかにもアメリカらしく印象的だったが、この日の主役は2台の蒸気機関車、その名も軸配置4-4-0の「アメリカン」。プロモントリーの青空によく映えていた。
写真・文=櫻井 寛
※アサヒカメラ2019年8月号より抜粋