沖縄県の国道58号、通称「ゴーパチ」には、夜な夜な暴走族やその見物人が集まってくる。著者は大学院生だった2007年、ヤンキーと呼ばれる彼らの「パシリ」として行動を共にし、以後10年以上にわたって彼らと付き合ってきた。

 高校や大学を出た彼らは現場作業員や風俗店従業員などになったが、その大半が過酷な仕事だと著者は綴る。彼らは「地縁」により、先輩後輩の濃密な関係に支えられている。だが上下関係は厳しく、年上から年下への暴力や略奪は日常茶飯事だ。若いうちから形成したがる家族の中では、その矛先が女性に向かっている。

 登場人物は約30人。親しくなった著者に彼らが語った言葉は、本来「地元」の外では聞けないものだろう。肩入れするのでも、突き放すのでもなく、沖縄の一面を活写している。(内山菜生子)

週刊朝日  2019年8月2日号