「ウナギと梅干しの食べ合わせは良くない、と聞いたことがありますか。ところが、科学的な根拠はありません。むしろ、梅干しのクエン酸は、脂肪の多いウナギの消化を助けるため、良い食べ合わせです。中国の陰陽五行説によるところの、贅沢をするなという教訓めいた意図によって伝えられてきたとされています」
こう話すのは、アンチエイジングなど多数の著書があるお茶の水健康長寿クリニックの医学博士、白澤卓二氏である。
なんだ良かったのか、とほっとしたのもつかの間。実は、何気なく日々の食事で取り入れている食材の組み合わせに、発がん性や過栄養、栄養阻害といった落とし穴があるという。
朝食の定番であるハムとジャムトースト、パスタにあえる明太子とマーガリンといったよくある組み合わせだが、避けたほうがいいと白澤氏は言う。
「ハムなどの加工肉や明太子に含まれる発色剤として使われる亜硝酸塩は、単体では人体に影響が少ないとされる食品添加物ですが、ジャムやマーガリンに含まれる保存料や酸化防止剤と組み合わさることで、発がん性物質を発生させる恐れがあると報告されています」
発がん性はなくとも、過栄養になる組み合わせが、コーラなどの炭酸入り清涼飲料水とポテトチップス。意外性はゼロだが、たまに食べたくなってしまう。
「コーラは、大量の糖質を含んでいるうえ、炭酸ガスが胃腸を刺激して食欲を促進させます。しかも、ポテトチップスのジャガイモも糖質が高い野菜で、揚げ油も使われているので、とりすぎると肥満だけでなく、肌荒れや動脈硬化につながる可能性もあります」
健康に良いとされる食材でも残念な結果を招くものもある。飲酒などで肝臓の機能が低下している人は、レバーなど鉄分の多い食品のとりすぎには注意したい。
肝臓に鉄分が蓄積されると、活性酸素が発生しやすくなり、脂肪肝や肥満、肝硬変につながるリスクが高まるという。
「アルコールの影響で肝臓が弱っているとき、ウコンで回復できると考えている人がいるかもしれませんが、ウコン製品の中には鉄分が豊富に含まれるものがあります。ウコン製品に頼らず、お酒を飲まない休肝日を取り入れるようにしましょう」