白澤氏は、高齢者こそ食べ合わせに気を付けてほしいと言う。

「バランスの良い食事が大前提になりますが、食べ合わせを意識することは、カルシウムなど高齢者に不足しがちな栄養素の吸収阻害を防ぎ、病気や認知症の予防にもつながります」

 骨粗しょう症予防のために、カルシウムを豊富に含む食材をとっていても、別の食品に妨げられて吸収されにくくなるのは残念。

 例えば、みそ汁。代表的な具材と言えば、ネギとワカメ、豆腐だろう。しかし、ネギは、豆腐とワカメの栄養素を阻害してしまう。

「豆腐とワカメはカルシウムが豊富なので、積極的にとりたい食材ですが、ネギに含まれる硫化アリルとシュウ酸という成分が、カルシウムの吸収を妨げてしまうのです」

※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)

 一方で、ワカメと豆腐だけならみそ汁に良い組み合わせ。みそには、植物性たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれている。だが、塩分は多め。そこで、ワカメのぬめり成分であるアルギン酸が、みその塩分を吸着してくれるという。そして、豆腐は、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素が豊富だから、みそ汁の具材としてベストマッチなのだ。

 白澤氏によると、一緒に食べるのは避けたい組み合わせでも、朝と昼など時間をずらして食べる分には問題ないという。

『栄養を捨てない食べ方』(エイ出版社)を監修する管理栄養士の麻生れいみ氏は、こう指摘する。

「小腸は加齢の影響を受けにくいとされているものの、高齢者は、歯が悪くなったり、唾液の分泌が減ったりして咀嚼(そしゃく)力が低下します。それだけでなく、胃酸の分泌や嚥下(えんげ)機能も下がっていきます。高齢者は栄養を損なわないように食べ合わせに気を付けていただきたい」

 体を動かすことも減り、食欲すらわかず、食が細る高齢者は少なくない。食べ合わせが悪いせいで、消化不良や腹痛を起こせば、さらに食べられる量や内容が制限されかねない。(本誌・岩下明日香)

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