誰しも旗艦機への憧れは少なからずあるはずだ。しかし、価格面だったり、性能重視と堅牢性ゆえの大きさや重さだったりで諦めざるを得ない人も多いだろう。LUMIX G99の目指すところは旗艦機G9 PROの高画質・高性能・高操作性を継承しつつ、ポータブルなボディーと手にしやすい価格にしてユーザー層の間口を拡大することにある。
立ち位置を明確にするためか、G99は旗艦機G9 PROと性能的な差がつけられている。一番の違いは人体認識AFがないこと。また撮像素子は有効画素数2030万画素 LiveMOSセンサーという点では同じでも、組み合わせる映像処理エンジン(ヴィーナスエンジンの世代)も含めG9 PROと共通ではない。絵づくりの傾向はG9 PROとそろえた設計だが、センサーの読み出しのスピードが異なるという。その関係でコントラストAF+空間認識によるAFは約0.07秒(G9 PROは約0.04秒)。また連写性能はAF追従なしのAFS約9コマ/秒、追従ありのAFCで約6コマ/秒で、G9 PROより秒3コマ分及ばない。ただし、前モデルのG8(1600万画素)と同じコマ速である。ちなみにシャッター速度もG8と同じ最高4000分の1秒だ。
センサーシフト式のボディー内5軸の手ブレ補正を搭載し、レンズ側の手ブレ補正機構と協調して5段の効果(G9 PROは6.5段)を発揮する。撮像素子を微動させ複数画像を撮影して高解像度画像にするハイレゾモードは非搭載。ほかには動画撮影モードの通常最高画質は4K/30P(G9 PROは4K/60P)、ハイスピードムービーの最高画質がフルHDにとどめられている点などの差がある。しかしこれらの機能が必要ないユーザーが多いのも事実。特に連写性能は一般的な撮影には十分で、かなり速い動体撮影もこなせる。
白黒フィルム調のクリエイティブコントロールのL.モノクロームDおよび粒状効果の設定も可能になっている。一方、最新型ゆえに新しい機能・性能もある。なかでも比較明合成撮影を液晶モニターで確認しながら撮影可能なライブビューコンポジット機能は楽しい。
ボディーサイズはG8とほぼ同等。小さいとはいえ、小指までしっかり握れるグリップのハンドリングは良好で、USB充電/給電が可能なので、旅行などでも頼もしいパートナーとなるはずだ。
写真・文 宇佐見 健
※アサヒカメラ2019年5月号より抜粋