思想家、元首相、政治学者の3人が、平成とはどのような時代であったかを総括しつつ、日本の現状と未来について縦横無尽に語り合った。

 社会も組織も制度化されてしまった「株式会社日本」の国民は、劣化して行き詰まった資本主義世界の中で、「従業員マインド」に汚染されている。このような日本に明るい未来は見えてくるのかと著者たちは問う。天皇制、沖縄、北方領土、原発、憲法、自衛隊、従軍慰安婦、安倍政権などの問題が俎上にのせられる。

 いつまでたっても果たせない「対米自立」の深層を説き明かし、現代日本を「貧乏くさい」という「内田節」も興味深い。トランプ米大統領への肯定的な見方や中国への高い評価など、鳩山氏ならではの発言も見逃せない。令和の時代にも引き継がれていく大事な課題をあぶり出した書である。(村上玄一)

週刊朝日  2019年5月24日号