備中松山城
備中松山城

01 沖縄・世界遺産コース
【グスクの城壁に海洋王国琉球の残像を追って】

【写真】圧巻! 写真家が撮影した日本の名城壁

 奄美諸島から沖縄本島、先島諸島の広範囲に点在する城跡をグスクと呼び「城」の字を当てる。300カ所以上が確認されており、沖縄本島に残る5城がユネスコの世界文化遺産に登録されている。

 グスクは高台や海岸近くに築かれているので、城壁をとり巻く南国の海と空を写し込んだ構図を狙ってみたい。世界遺産の5城は那覇市から本島中部にまとまっているが、南部に多数残るグスクまで視野に入れると、移動にはレンタカーの利用が望ましい。どこまでも広がる青空とサンゴ礁の海、流れる雲を追いかけるドライブは島旅の醍醐味である。

中城城(沖縄県中城村)那覇市から車で約30分、中城村の丘陵上に残る保存状態の良いグスク。幕末、ペリーの黒船艦隊が調査を行い、築城技術を絶賛した記録が残っている。城壁から望む中城湾から太平洋、東シナ海の眺望が素晴らしい
中城城(沖縄県中城村)那覇市から車で約30分、中城村の丘陵上に残る保存状態の良いグスク。幕末、ペリーの黒船艦隊が調査を行い、築城技術を絶賛した記録が残っている。城壁から望む中城湾から太平洋、東シナ海の眺望が素晴らしい

02 関東・日帰りコース
【江戸城と小田原城から関東平野を俯瞰する】

 関東には石垣を持つ近世城郭が少ない。材料の石材が産出されないからだ。もちろん例外はあって、江戸城と小田原城がその代表的な城である。首都東京の中心とは思えないような静寂と、思わずレンズを向けたくなる景色がそこにある。

 埼玉県の川越城、群馬県の箕輪城。千葉県の佐倉城、大多喜城。静岡県になるが山中城なども候補とし、地域全域を俯瞰しておきたい。

江戸城(東京都千代田区千代田)現在の東京の基礎となる江戸城とその城下町は、徳川家康によって築かれた。毎日多くの外国人観光客が訪れるが、日本人にももっと知ってもらいたい城である。現存の富士見櫓は焼失した天守の代用として使われていた
江戸城(東京都千代田区千代田)現在の東京の基礎となる江戸城とその城下町は、徳川家康によって築かれた。毎日多くの外国人観光客が訪れるが、日本人にももっと知ってもらいたい城である。現存の富士見櫓は焼失した天守の代用として使われていた

03 近畿・滋賀京都コース
戦国時代の名城がひしめく歴史街道へ】

 近畿地方は山城から近世城郭まで多数の城が残る城郭密集地域である。特に近江国(滋賀県)には、織田信長や豊臣秀吉の統治時代の城が並び、まさに戦国街道をゆく感がある。また信長の安土城に始まる高石垣や天守を持った近世城郭は、続く秀吉の天下統一事業に伴ってここから全国へ拡散していった。

 撮影は琵琶湖畔の城を拠点に、周囲に点在する城を取り込み、北陸地方から京阪神まで視野を広げたコースを組みたい。福井県の丸岡城、越前大野城や、大阪城、姫路城など必見の名城がそろう。

 また、訪れる城の歴史や特徴を知ることは、撮影ポイントを逃さず独自の視点を見つけることにもつながるので、事前の情報収集は必須だ。多数出版されている城の解説書やガイドブックを役立てよう。

 さらに、昨今の歴史・城郭人気の影響もあって、有名観光地の城やその周辺は休日の混雑が激しいことも計算しておくべきだ。

彦根城(滋賀県彦根市金亀町)徳川譜代の井伊家の居城。国宝指定五城のうちのひとつ。国宝の天守、重要文化財の櫓や、堀、石垣など城跡全体が被写体の宝庫である。大名庭園の玄宮園、井伊直弼が若き日を過ごした埋木舎なども併せて回ってみたい
彦根城(滋賀県彦根市金亀町)徳川譜代の井伊家の居城。国宝指定五城のうちのひとつ。国宝の天守、重要文化財の櫓や、堀、石垣など城跡全体が被写体の宝庫である。大名庭園の玄宮園、井伊直弼が若き日を過ごした埋木舎なども併せて回ってみたい


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