4月22日ごろから23日にかけて、「4月こと座流星群」が極大を迎えます。
平成最後の流星群でもあり、1月のしぶんぎ座流星群以来となる流星群。初夏から秋にかけて出現する、さまざまな流星群にさきがけての登場となりますが、今回は少し早めに「4月こと座流星群」についてご紹介しましょう。極大までまだ1週間ありますので、壮大な天体ショーをどこで誰と見るか、早めに計画を立ててみては!
また、この流星群の特徴は、遥か2000年以上前から存在するという記録が残っていること。ぜひ、そんな悠久の歴史を感じながら夜空を見上げてみてはいかが!

春の夜空を見上げてみよう
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一等星・ベガが輝く小さな星座「こと座」に秘められた神話とは……

こと座は文字通り楽器の琴の形をした星座。
ギリシャ神話には、こと座をめぐる悲しい物語があります。この琴は、音楽の神であるアポロンが、琴の名手であるオルフェウスに贈ったもの。最愛の妻を亡くしたオルフェウスは、冥界に妻を取り戻しにいくのですが……。オルフェウスの奏でる美しい琴の音色に、冥府の王ハデスは「地上に戻る前に一度も妻を見てはならない」という条件をつけて、妻を返します。
しかし、地上へと戻る道すがら、オルフェウスは本当に妻がいるのか心配になり、振り向いてしまいます。そのまま妻は冥界へ、やがてオルフェウス自身も死んでしまうのです。それを哀れんだゼウスが琴を星座にした、というわけです。
このような神話が今に伝わる「こと座」は、春から秋の夜空に見られる小さな星座。目印になるのは、青白く光る一等星・ベガです。ベガは七夕伝説のなかで織姫星として知られていますし、夏の大三角形の一つでもある、見つけやすい星です。

夏の大三角形を確認しながら見つけてみよう!
夏の大三角形を確認しながら見つけてみよう!

紀元前に見られた説もある4月こと座流星群。流れ星の数は多くない小さな流星群

こと座は小さな星座ですが、この星座に放射点を持つ4月こと座流星群も控えめで、それほど流星の数は多くありません。例年1時間に5~10個程度です。
ところが、4月こと座流星群の特徴として、数十年に一度、突然、流星数が増えることがあります。記録的な流星数としては、1945年に日本で1時間に約90個観測されたこと。海外では1922年、1946年、1982年などに流星数の数が増えたとの記録があります。
また、2000年以上前の中国で観測された記録も残っています。それより前の紀元前に観測されたとも言われている、古い歴史をもつ流星群として有名です。

突発的に流星数が増えることも!
突発的に流星数が増えることも!

おすすめの観測時間は4月22日23時ごろ〜23日明け方

さて、そんな4月こと座流星群が、4月22日ごろに極大を迎えます。
こと座にある放射点が高く上る4月22日23時ごろ〜23日明け方までがおすすめの見ごろとなります。しかし、月は満月に近い状態のため空は明るく、観測条件はあまりよくありません。短時間しか見られず、観測場所によっては、残念ながらほとんど見えない可能性もあります。
しかし、前述したような星座の神話に思いを馳せながら、夜空を見上げるのも、またステキなひとときとなるでしょう。流星群を観測するときは、肉眼で、放射点にこだわらず空全体を見るとよいでしょう。
季節的には寒の戻りもありますし、朝夕の気温が冷え込むこともあるので、観測時にはぜひ温かい服装で楽しんでくださいね。
●参考/国立天文台ホームページ

ロマンティックな天体観測を!
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