「日本人の3分の1は日本語が読めない」「年を取るほど、親に酷似する」「日本ではかつて大虐殺があった」「東アジアにはうつ病が多い」「男は極端、女は平均を求める」

 前作『言ってはいけない』で「氏か育ちか」の議論に楔を打ち込んだ著者は、今作では、人種の知能の違いにまで考察の対象を広げる。

 分子遺伝学、脳科学、統計解析、人類学など豊富なデータを縦横無尽に操りながら、誰もが薄々気づきながらも大声で話せない残酷すぎる現実をつきつける。

 米国を中心に民族排斥的な議論が巻き起こっているが、そうした排斥的な発言もまた、先天的なものであると気づかされる。もはや「話せばわかる」ではなく、「話してもわからない」前提で生きざるをえない世界を我々は生き抜くしかないのかもしれない。

週刊朝日  2019年3月1日号