実は出店オファーは各地から相次ぎ、今も続いているという。これまではすべて一貫して断ってきたが、イベントで実績を積み、その経験を踏まえた上で考えられる清水氏ならば、と今回の出店が実現した。清水氏いわく、「東京進出は社長の腹一つで決まった」のだとか。
東京メトロの新宿御苑前駅から徒歩1分のところにオープンした新店は早くも連日行列だ。先日のミシュランガイド東京で一つ星を獲得した「SOBAHOUSE 金色不如帰」とともに新宿御苑前を新たなラーメンの街として盛り上げている。
歴史ある京都ラーメンを東京にしっかり根付かせられる土壌はできあがった。しかし、さらなる店舗展開の予定はまだ今のところない。「まずは人を育てなければいけない」と清水氏。
「第一旭」のラーメンのレシピは大まかなものしかなく、豚骨の量や入れる肉の種類はその日のスープのコンディションによって変えている。その技術は簡単に覚えられるものではなく、毎日細かく教えながら従業員を育てているという。本店では毎日900食を提供しているが、新宿店では現在300食が限界だ。
「まずは安定した数を出せるようになってから今後のことを考えたい」
と清水氏は明かす。かつての失敗もあり、出店に慎重にならざるを得ない状況がその裏にはあるのかもしれない。
70年以上の時は流れたが、「京都ラーメン」はここから新たな時代に入るかもしれない。(ラーメンライター・井手隊長)