おとなしい性格の若い上司とやんちゃな部下という組み合わせは、上司から見れば、軽く見られ扱いにくいことだろう。さらに仕事ができない上司なら、部下から不満が続出しやすくなるのはいうまでもない。今回は同じチームの20代のやんちゃトリオがメンタルヘルス不調を口実に、休職届を提出。チーム長は指導放棄し、現場は大混乱するが…。工場長はどんな方法で解決を試みるのか?(社会保険労務士 木村政美)
<甲社概要>
国内では中規模の資材製造メーカー。創業30年で従業員数は約400名。そのうち工場の製造ライン勤務する者は約300名いる。5年前から商品需要の増加により、会社の売り上げは鰻上りに上昇している。
<登場人物>
A:工場長。40歳。
B:丙チーム長。30歳。30名の部下を指導する。
C・D・E:新チーム結成に伴い入社した社員。3名とも20代で、丙チームに属している。
F:Aの大学時代の同期で社労士。
●増産体制で2チームを新設 両チームの稼働が対照的に
会社は2年前、増産体制に対応すべく新たに乙、丙と2つのチームを設けた。両チーム員は各々30名、メンバーは、新卒または中途で採用された20代の若手が中心で、チーム長がシフトの管理や技術指導等にあたっている。乙のチーム長は入社20年超のベテラン社員。丙チーム長には、A工場長が将来の幹部候補との期待を込めて、入社7年目のBを抜擢した。
業務状況は2チームともフル稼働状態で、勤務時間中は結構忙しい。それに残業や休日出勤もある。チームごとの内情を見ると、乙チームはチーム長の技術指導が的確であり、勤務シフトも個々の事情を勘案しながら上手く回している。一方、丙チームはBチーム長の部下に対する技術指導や勤務シフトの編成が上手くいかず、部下から続々と不満が噴出していた。さらにBは年齢が若くおとなしい性格のため、やんちゃな部下からは軽く見られていた。