木村政美
C、D、Eは丙チームに所属している。作業ラインが隣同士だったことから仲良くなり、休憩中等はいつも一緒に過ごすようになった。3人とも会社やBチーム長にはかなり嫌気がさしており、いつも悪口を言っては盛り上がっていた。今日も一緒に昼食を取りながら、早速Cが不満をぶちまけた。
「毎日忙しいし残業もあるし。おまけに仕事はつまんねーし。やってらんねーよ」
すると、Dも話に乗ってきた。
「ホントだよ。Bのやつ、急に『明日休日で悪いんだけど、忙しいから出勤よろしく』だってさ。ふざけんじゃねー！おかげでせっかく友達と遊ぶ約束したのに断らなきゃなんねーし…。仕事辞めてーわ。Eもそう思うだろ？」
話を振られたEは、Dに同情をした様子で答えた。
「D君かわいそすぎるーっ。休日出勤なら前もって言えよってんだ！いつもこの調子じゃん。ああ……カッタルイ」
●全社員対象のメンタルヘルス研修を実施
ある日会社は「従業員安全・衛生教育」の一環として全社員対象のメンタルヘルス研修を行った。内容は専門家を講師に迎え、セルフケアの基本を学ぶもの。その中にはセルフチェックシートを使って「自分のこころの健康度」をチェックする項目があった。C、D、Eもおしゃべりしながら、チェックシートを記入していった。
「俺、眠れないし、朝起きれないし、いつもボーッとしてて集中力ない。こりゃヤバイわ！」とCがふざけた調子でDに話しかけた。
「お前、単にゲームのやりすぎじゃないの？アハハハ……」
「だってゲーム面白いじゃん。それにストレス解消になる。仕事はストレスだらけ。これは会社が悪いんだよ」
Eも笑いながら続いた。
「今夜の対戦もガッツリオールナイトだぜ！夜の10時、サイトで待ってるよ！」
その晩、Cは帰宅後、IT企業に勤める友人との電話の中で、友人から仕事が激務のため、メンタルヘルス不調になり、届けを出して休職している話を聞いた。
（エヘヘヘ、いいこと、聞いちゃった。明日、D、Eに話してみるか……）
翌日、CがDとEにある提案をした。
小島よしお
しいたけ.
西崎彩智
