外国人技能実習制度も、「企業の本音」によって「骨抜き」にされてきた。
日本で学んだ技術を母国に持ち帰る、というのが実習制度の建前だ。制度が始まった93年は、実習の対象職種は17だったが、「安い労働力が欲しい」という経済界の本音に沿う形で、今では80職種近くまで拡大している。
さらに、「安い労働力ではない」はずだった実習生の位置づけも、企業側の「人手不足」の訴えに押されて、徐々に変化。ついに政府は6月に決めた「骨太の方針」で新たな在留資格の創設を打ち出し、事実上、実習生の労働力としての活用に道を開いた。
派遣法も裁量労働制も技能実習制度も、創設時点の理念が経済界の本音によって徐々に侵食され、結果として対象が拡大するという全く同じパターンをなぞっている。
高プロを「残業代泥棒対策」と捉えるのは、現時点では間違いだが、労働法制のなし崩しの歴史を見れば、変質してしまう可能性がかなり高いと言わざるを得ない。
(ダイヤモンド・オンライン編集部)