緩和ケア病棟に入院した母を見舞うと、母は「いかにも病人みたいな接し方するな」とイライラMAX。感動ドラマとは大違いの「看取り」の日々を描いた漫画エッセイだ。

 母から漫画家の次女に電話があり「お父さんと一緒に入りたくない」と購入するお墓のデザインを頼まれ、「何でもいいじゃできないよ」と返事をすると「もういいです」とプツッと切れる。お見舞いのたびに同居の長女への不満を聞かされ、ヘトヘトに。「これ以上、母を嫌いになりたくない」と心理セラピーを受けるなど、エピソードが具体的でリアルだ。

 シリアス一色ではなく、周囲が振り回される場面の数々に共感。他界して2年という時間がそうさせるのだろう。たまにかけられた優しい声を思い出すくだりがタイトルになっていて、笑いつつも切なくなる。

週刊朝日  2018年5月18日号