●「革新系」に都合のいいように政府の組織改変に乗り出す

 今回の李元大統領の逮捕が、「政治報復」か否かは不明だが、今後、文大統領は、どのような政権運営を行っていこうとしているのか。

 文大統領が進めている国家権力機構の改編などを見るにつけ、到底、報復や権力闘争の連鎖を食い止めようとしているとは思えず、政府の組織を「革新系」にとって都合のいい形に改編させようとしていることは明らかだ。

 2017年6月19日、国家情報院改革のための「国情院改革発展委員会」が設置された。これは、組織の刷新と積弊清算が名目だ。だが、その委員長を務める鄭海亀・前聖公大学教授は、青年時代から左派学者たちと一緒に「韓国政治研究会」で、マルクス・レーニン主義に心酔してきた人物。彼らが決めようとしているのは、これまで国家情報院が握っていた全ての権限を剥奪し、単なる情報収集機関にくら替えするということだ。

 このほか、「法務検察改革委員会」「警察改革委員会」「5・18(光州事件)特別調査委員会」「軍積弊清算委員会」などの委員会にも、左派活動家を始め、国家保安法を否定する活動家や、弁護士などを中心に構成されている。

 こうした委員会が、何を意図して設けられたか想像に難くない。革新系が、こうした権力機構の圧力にさらされてきたという怒りが根底にあり、権力を奪ってしまおうという狙いがあるのだ。

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