
10年前、実家の母が心筋梗塞で入院した。幸い命はとりとめたが、フルタイムで働く私が毎朝毎夕病院に通いだして3日目に、主人が突然トイプードルの子犬を連れて帰ってきた。
知人宅で生まれたので、いただいたとのこと。
仕事を持つ夫婦2人のわが家。犬を飼うのは諦めていた。だのに、なぜこんな時に……、と恨めしく思った。しかしあれこれ考える余裕もなく、アンディ(写真、雄)と名付け、子犬育てが始まった。
無我夢中だったので当時のことはあまり覚えていない。可愛い盛りの子犬を可愛いと思う余裕もなかった。
それでも母が無事退院し、少し落ち着いてからは、アンディの両親、その飼い主である知人に感謝の念でいっぱいになった。
平日は長時間お留守番させていることを申し訳なく思っているので、たまに廊下でウンチをされたりスリッパをかじられたりしても、元気でいてくれるだけで幸せ。他には何も望まない。
疲れて帰宅する私たちを文句も言わず(言えず)癒やしてくれるアンディに私がしてあげられるのは食事の手作りだけだと思い、お肉や野菜など栄養バランスを考えて作っている。そのせいかどうか、1歳過ぎまでは血便に驚かされたり、何度か獣医さんのお世話になったりしたが、その後は健康そのもの。ありがたい。
わが家の王様アンディも、もう10歳になった。よく見れば顔には白いところが出てきたし、廊下は無駄に全速力で走っていたのに、スピードが若干遅くなった。
毎日小さな体で防犯係を務めてくれ、さぞかしストレスも大きいと思う。私が退職して、四六時中一緒にいられるようになったら、赤ちゃんの時の分まで甘えさせてあげたい。それまであともう少し元気で頑張ってね、アンディ!
(山田洋子さん 徳島県/60歳/会社員)
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